日大の悪質タックル問題と結びつけようとする記事について
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ここ最近、スポーツ競技でラフプレーが発生すると、それを2018年5月6日(日)に起きた日本大学アメフト部によるいわゆる悪質タックル問題とあたかも同質のものとして報じる記事を見かけるようになった。

しかし、以下にリンクした件も含めて、日本大学アメフト部のものと同質のものは、私が確認する限り存在しない。

むしろ、読者をミスリードすることにより、人の不幸を生きる糧とする匿名のネットユーザーの悪意を増幅し、被害者側も含む多くの関係者たちの人権を毀損ような結果を招いている。

問題の試合は7月17日
サッカー界「最悪のタックル?」まるでプロレス…衝撃の“腹部ドロップキック”波紋拡大

こちらについては、読者コメントにおいて、故意には見えないとの意見が多数あり、波紋拡大と見出しにはあるものの波紋が拡大する気配がないくらい質の低い記事である。個人的に引っ掛かるのがこちらの方である。

問題の試合は6月10日
心臓損傷の危険もあった高校ハンドボールひじ打ち、審判も浪商監督も危機意識がなさ過ぎる

問題の概要は、記事の冒頭の通りである。
以下、抜粋

インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の出場をかけた、高校男子ハンドボールの大阪大会決勝で、大阪体育大学浪商高校の選手が、桃山学院高校の2年生のエース選手の胸部下かみぞおちあたりにひじ打ちを食らわせて倒したことが問題視されている。日本大学アメリカンフットボール部のように監督やコーチの指示などではなく、浪商側は「故意ではない。偶然」と主張しているが、桃山学院側は「限りなく故意に近い反則」と納得せず、両校は真っ向から対立している。

抜粋終了

1.日本大学アメフト部の件は、

「監督・コーチの指示により」、半強制的に

選手が相手チームの選手に対して危害を加えるために
「故意に」ラフプレーを行った。2.上記の2つの記事については、選手が相手チームの選手に対して危害を加えるために
「故意に」ラフプレーを行った(疑いがもたれる)。1,2に示すように日本大学の件と2つの件は、監督・コーチの指示があるかないかという点において問題の本質が全く異なるのである。

残念なことではあるが、スポーツの試合となると、プレー中にエキサイトしてしまい、相手に対して危害が及ぶようなラフプレーを犯してしまうことがある。この手のラフプレーなどは、数えきれないほどある。

私が問題視しているのは、数多あるラフプレーに対して、これをあたかも日本大学と同質のように報じることで、必要以上に世間の注目と非難を関係者に浴びせかけていることである。

ハンドボールの件については、まるで犯罪者を糾弾するかの如く、実名検索を必死に行う方がみえるようで、おかげさまで加害者ではない学生の実名が広まっている。

このような悪意のある吊し上げを行っている本人が悪いのは当然であるが、そもそもハンドボール部の肘打ちの件が世間の注目を浴びているかの様に情報発信したメディアの責任も大きい。

もし仮に善意のある発信を行いたいのであれば、加害者の所属する学校側が当該生徒に対してどのような教育的指導を行ったのかを報じて、その指導内容が十分であったか等々、今後の学校現場の問題行動に対する判断基準を提供する意味でも、全国の教職員から多く意見を求められるような内容を報じる方がよい。

尚、ハンドボールの一件については、審判の危機意識も問題視されているが、その件に触れるのであれば、まずこちらの記事を一読して、日本の審判の現状を理解してもらいたい。

「日大・危険タックル、アメリカでは3日でケリがつく」。スタンフォード大のアメフトコーチの見解は?

確かに審判の判断には、甘さがあったのかもしれない。しかし、日本の多くの学生スポーツにおいて、競技の裁定を行う審判は、休日返上でほぼボランティアで任務に当たっているのである。審判に責任を求めることは大切ではあるが、そこを過度に強調しすぎると、審判を辞退する者が多発し安全を協議する以前に、スポーツ競技そのものが行えなくなる。

問題の本質は、健全に運営しているとされるアメリカと日本の現状との格差であり、この格差を是正する声がもっと世間一般から上がるようにメディアは誘導するべきではなかろうか。

メディアの方々には、安易に世間の注目を集めるだけでなく、問題の本質の改善に向けて情報発信のプロとしてプライドを持って情報発信していただけるよう望むばかりである。
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