新チームにおける課題(1.フィジカル強化)
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新年に入ってからチームの基本理念についてお伝えしましたが、これから先の具体的な活動は、基本理念を基にして展開されていきます。

今回は、新チームにおける課題と題して、今後特に私自身が力を入れて関わっていきたい項目についてお伝えします。

この記事は、1年後もしくは、それより先に三重大学アメフト部がどのような変化を遂げているのかを、フットボール関係者の方々が、この記事の内容と共に比較吟味していただくことを想定しております。

拙い記事にはなりますが、我々と同じ環境下でチーム作りに励むフットボール関係者の方々の参考になれば幸いです。

私は、以前から三重大学アメフト部の課題は、フィジカル強化であると認識し、課題解決のためにチームの環境整備から取り組んで参りました。

従って、これからお伝えする内容は、ヘッドコーチとしての取り組みというよりは、むしろ今まで私が取り組んできたことを継続することに該当します。そして、フィジカル強化を達成する手段として、三重大学アメフト部のファンの獲得を目指していきます。

ここで整理しておくと、私はこれから

1.『フィジカル強化』のために
2.『チームの環境整備』および、
3.『ファンの獲得』

に着手していくことになります。

1.フィジカル強化

■過去の経緯

私が現役選手だった頃から、三重大学アメフト部はフィジカル面において、他のチームに対して劣勢に立たされてきました。

ちょうど私が入部する頃の三重大学は、東海1部リーグ昇格をかけた入れ替え戦常連校と呼ばれる頃であり、毎年2部リーグでの優勝を果たし入れ替え戦に出場するも敗退というサイクルを繰り返し、2部リーグではあたかも敵無しのような立場をキープしていました。

その頃は、インターネット環境が完全に普及するまでの過渡期のような時期であり、フットボールに関する戦術面での情報格差が露骨に現れる時代でもありました。

当時の三重大学アメフト部は、コーチ陣のフットボールIQに支えられるような形で、2部リーグの公式戦においては、頭脳戦において優位に立ち、リーグ優勝を収めることが出来ました。しかし、1部リーグに所属するチームとの対戦になると、戦術面における優位性が後退し、フィジカル面での格差が露骨に現れ、頭打ちになる事が何年も続きました。

過去に2度、1部リーグへの昇格を果たしてはいるものの、1部リーグにおいては、フィジカル面での劣勢が如実に現れる結果となり、翌年には再び2部リーグに降格しました。

その間、日に日にインターネット空間に蓄積された情報の質が高まると共に、2部リーグにおける戦術面での格差が解消されていきます。この時代の流れと共に、三重大学は常にフィジカル面での劣勢と対峙することが余儀なくされ、もはや2部リーグにおいてさえ、まともに勝利することが難しいチームになってしまいました。

フィジカル面の課題は、私自身が学生であった頃から問題意識を抱き着手してきた課題でもあります。現役引退後は、コーチとして、当時の選手やスタッフとも協力して課題解決に専念することで、徐々に改善されて来ました。しかし、その改善の速度よりも他大学の成長速度の方が速かったというのが率直な感想です。

■昨シーズンのフィジカル強化

私は、このような時代背景を踏まえて、フィジカル面での劣勢を解消しない限りは、チームに明るい未来はやって来ないと考えております。

確かにかつてのチームにおいても、他大学の選手以上に屈強なフィジカルを備えた選手はいました。しかし、それはあくまでも、個人の努力による成果であり、チームがもたらした成果ではありません。

今、チームに求められるのは、毎年三重大学アメフト部に入部した選手が漏れなく、他大学の選手と対等に勝負できるフィジカルが形成できるシステムを構築することです。

昨シーズンについては、実力を備えた幹部クラスの選手をストレングスリーダーに配置し、更にトレーニング機材の購入や食材の提供、そして株式会社明治様のご厚意による栄養講習会を三重大学内で実施するなど、例年以上にフィジカル面での課題解決に重点をおきました。これらの取り組みが功を奏し、春先においては、チーム全体としての底上げが達成され、フィジカル面での問題解決が目前にまでに迫っていました。

しかし、それ以降においては、底上げされたフィジカルレベルを維持することが出来ず、結局のところ、例年と同じく他大学とのフィジカルの差を痛感するとともに、秋季リーグ戦においては、2部Bリーグ降格という結果に終わっています。

■これからのフィジカル強化

昨シーズンは、とても残念な結果となりましたが、学生たちの1年間が無駄な取り組みであったとは思っておりません。むしろ、チームの新たな歴史を作り上げるための大きな1歩を踏み出すことが出来たのではないかと考えております。

私が、フィジカル面において問題意識を持ってから、私も含めて歴代の選手、スタッフがこの課題解決に着手してきましたが、単なるカロリー摂取による増量ではなく、ウエイトトレーニングの習慣と食生活が適切にリンクし、フットボール選手らしい体格を形成できるという可能性の光を見出せたのは、昨シーズンが初めてのことであります。

算数で例えると、0(ゼロ)に対しては、何を掛け算してもゼロのままですが、たとえ微量であっても、たったの0.1であったとしても、これから10倍の努力を重ねさえすれば、1の事が成し遂げられます。私は、この点を以て昨シーズンを高く評価しております。

新チームにおいては、0.1まで積み上げられた成果が再現可能なのか、つまり昨年度のストレングスリーダーの手腕により一時的に達成された成果ではなく、次世代以降に正常に引き継がれていくものかどうかの検証を怠らない姿勢が大切です。

フィジカル強化の課題を実際に解決していくのは、学生自身になりますが、

「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」

の言葉の通り、チームの歴史に則った取り組みへと導いていくことが、私自身の役割であると認識しております。

この言葉は、1800年代を生きたドイツの鉄血宰相の異名をとるオットー・フォン・ビスマルクの意訳によるもので、正確な訳は、

「愚かな者は自分の経験から学ぶと信じているばかりだ。私は最初から自分の過ちを避けるために、他人の経験から学ぶことを好む」

となります。

これを我々になぞらえると、独りよがりの経験則に左右されずに、歴代の先輩たちの取り組みにおける成功体験を誠実に再現し、同じ失敗体験は決して繰り返さないことと解釈出来ます。そして、これは歴代の先輩方の取り組みに対する敬意の表れでもあり、賢者の歩む栄光の歴史であると、私はそう信じております。

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