退職を決意するまでの経緯
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今回は私が教師を辞めることを決断した経緯について話をさせていただきます。

退職を決意した理由というと実は色々あって、昨年のブログでもお伝えした通りです。

今回は「1理科教師の立場から」私自身の教員生活を振り返りながら、退職に至った経緯についてお話させていただきます。

■カウントダウンは9年前から

今から振り返ってみると、私自身の退職に向けたカウントダウンが始まったのは9年前の事でした。9年前というと2013年になりますが、その2年前に教員採用試験に合格して、翌年の2012年に津高校に赴任します。

津高校の前は、四日市南高校で常勤講師として1年間だけ勤務したのですが、そこで初めて大学進学を目指す生徒たちを指導することになります。

2011年:四日市南高校での1年間

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所謂進学校になるのですが、生徒たちは大学進学という一応の目的があって、基本的に真剣に授業は受けてくれるので、教師としてのやりがいを感じることは出来ます。しかし、その分、生徒たちが求めるものも大きくて、それに応えられないと苦労することになります。

当時の担当教科は1年生の化学と3年生の物理。化学については前任校で教えてきた経験をそれなりに活かせたのですが、物理に関しては苦労したというか、頭を打ちました。

ここでの1年間において、授業をするなかで、「生徒たちに教えている内容を私自身がきちんと理解できてない!」ということに気付きます。

高校の範囲なので1度は学習済みの内容で、学生時代にきちんと理解したつもりだったのですが、その言葉の通り、「理解したつもり」になってました。

■まずは教育困難校での修行を希望する。

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授業に入る前には、「生徒たちに説明する内容をどうすればわかりやすく伝えることが出来るのか」筋道を立てて考えていくのですが、いざ自分が理解した内容を言葉に置き換えようとした時に、上手く表現できないことがしばしば起こるわけです。

当時の自分は、「こういう説明では生徒に上手く伝わらない!」ということすら理解出来てなかったように思います。

四日市南高校では、「生徒に全然伝わらない」、「じゃあ、どうすればわかりやすく伝えられるか」ということを日々突き詰めていく中で、

自分自身が本質的なところを理解できていない!ということを身をもって理解していくことになります。

ちょうどこの年に、教員採用試験に合格します。常勤講師は同じ学校に最大3年間勤務することができるのですが、教員採用試験に合格した翌年は、別の学校に異動することが決まっています。

だから、この時は、進学校で教えるにはまだまだ実力が足りないから、教育困難校に赴任することを密かに願ってました。

教育困難校に行けば、高度な内容を教える必要がないので、まずは教師として指導が困難な生徒に向き合って生徒指導の基礎を身につけて、いつの日か進学校にカムバックする時のために専門知識を深めよう。

教育困難校というと、生徒の指導が大変なので出来ればここでは働きたくないって先生の方が多いだろうから、採用試験に合格したばかりの若手は、まずは教育困難校に配属されるだろうと思ってました。

それが、いざ蓋を空けて見れば県下で学力上位クラスの津高校に赴任することになります。

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トップ予備校講師の授業

津高校では2年生、3年生の全クラスで物理を教えることになるのですが、教師としての基礎はおろか、物理の授業では限られた時間の中で、どこからどこまでを伝えきればいいのかもわからずの状態です。これは先ほどもお伝えした通りです。

この年も結局、ただ指導教官の指示に従い教科書をなぞる程度のことしか出来ませんでした。

■動画教材との出会い

-そんな2012年度の終盤の3月。結局、何の成長を感じることもなく津高校での教員生活が2年目に入る時に、奇跡が起こります。

当時は、どうすれば物理の授業が上手く教えられるのか、ネット空間にヒントが隠されてないかと、ネットサーフィンをして、物理を教えてる先生のホームページを閲覧したり、2チャンネルを見て、予備校の有名な先生の評判なんかを調べたりしていました。

そうこうする中で、代々木ゼミナールのホームページで、有名講師の映像授業が視聴できることを発見します。

■為近先生の授業

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代ゼミサテライン予備校HPより

そこで出会ったのが為近和彦先生の授業でした。

1講座6000円くらいだったと思います。20講座近く購入したので、合計で10万円くらいです。当時、藁をもつかむ思いだった私は、迷うことなく身銭を切って講義を受けることにしました。

そのような中で出会った為近先生の授業は、私にとっては干天の慈雨と言うべきものでした。

ちょうどその時が、今から9年前の2013年の3月です。

日本でトップクラスの予備校講師が提供する授業の素晴らしさに感動すると共に、地方の高校教師である私自身のレベルの低さに愕然としたのですが、今にして思うと、退職に向けたカウントダウンは、この時に始まったのかもしれません。

この時の私と同じように、

物理を学びたければ私の授業ではなくて、この動画を生徒が視聴すればいいんじゃないか??

 

そのように思ったわけです。

そのように考えていくと、

果たして今現在私たちが教えている授業が生徒たちに果たして必要なのか?

 

という疑問が湧き上がってきます。

■為近先生の講義内容

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為近先生の授業は、単なる教科書の知識に留まらないのは当然のことですが、1つの公式に対して、その公式を導き出した物理学者の歴史的背景に触れながら、その式が持つ意味を説明してくれました。

この背景知識が大学入試問題を解く時にとても役に立って、ニュートンの立場に立って考えるならば、「この問題ではこういう式が立てられるはずだ!」という確固たる根拠が持てるようになるというか、自然と問題の解法の必然性が見出せるようになります。

■2013年:津高校2年目の新年度と3年目

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こうして、為近先生の教えを受けた私の、授業で生徒たちに伝える情報の質は確実に上がりました。当時の私としては、まさに鬼に金棒といった気分です。

こうして新年度を迎える私は、早く授業がしたくてうずうずしたのですが、それで実際に授業してみてどうだったのかというと、結局さしたる結果を残すことはありませんでした。

この1年間を通して気付くことになるのですが、どれだけ口頭で質の高い情報を伝達してもそれだけでは不十分で、私の発する言葉の1つ1つを正確に生徒たちが理解しないといけません。そのためには、1度その現象を目の当たりにすることが必要です。

これは要するに、実験授業を通して、物理特有の言い回しに慣れていくということです。

まぁ、後は伝える内容に加えて、これは今の自分に対しても言えることですが、

伝え方、、話術をもっと磨かないといけなかったですね。

 

■津高校での実績

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ここまでが私の津高校における3年間の教員生活です。

そこでの功績と言えば、教員間での授業内容に差が出来ないように、物理の授業の基本事項を約30枚のプリントにまとめて遺したことでした。おそらく、この資料のお陰で私と交替で赴任した先生のスタートラインは、私のそれよりも少なくとも1年分は先を行けたと自負しています。

たかが30枚のプリントですが、作成には1枚あたり10時間くらいは費やしていて、当時としてはかなり入念に作り込んだつもりです。

しかし、授業というものは、伝える内容が決まってからがスタートのようなもので、そこからどうやってこの情報を生徒たちに伝えるのが最善なのかという方法論を準備するところからが勝負です。

結局、プリントを作ることで精一杯の私には、それ以上のものを揃える余力が残っていなかったので、まだまだ私の授業は生徒たちに「これでどうだ!」と誇れるものからは程遠いものでした。

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■2015年:紀南高校での3年間

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翌年からは、紀南高校に赴任することになりましたが、もしも4年目以降も津高校に在籍していたら、映像授業の作成と実験授業の企画構成に専念したと思うので、もしかしたら私のYouTuberデビューが3年ほど早まっていたかもしれません。

紀南高校への赴任については、津高校に在籍してる時から学校長との面談で

教育困難校で働きたい!

と伝えていたので、その希望が叶えられたような感じではありますが、

これについては生徒に対する教育が困難であるというよりは、紀南高校は距離的な観点から教育を施すのが困難で多くの先生から敬遠されがちな学校といったところでした。その点では、私の希望とは少しずれてたような気がします。

紀南高校に在籍していたのは2015年4月~2018年3月で、そこではしっかりと生徒指導の基礎を学び、教員生活10年目の節目となる2018年には、一人前の教師になれたという自信のようなものを手にすることが出来ました。

■YouTuberの台頭

-その間、世間ではYouTuberなる人たちの存在が脚光を浴びるようになっていて、やがて高校の授業内容が全て無料でネット空間に拡散されることになります。

無料とは言っても、決して質は低くなくて、私を含むアベレージの教員よりは確実に良質でした。この時点で、座学の授業が完全に無価値化されたと感じた私は、「ならば学校でないと出来ない授業をすればよい!」

そう思って、自分自身の授業を動画化すると共に、実験授業に特化したスタイルに方針転換することにしました。

 

最後の職場:松阪工業高校(2018年4月~)

このタイミングで赴任したのが私の最後の職場である松阪工業高校です。

ここから本格的に授業動画の制作に取り組み始めます。

動画授業を配信するメリットは大きく3つで、

1つ目が、教師が授業をする必要がなくなること。

2つ目が、生徒が自宅でも引き続き学習できることで、リピート再生できるから授業内容の聞き逃しを防ぐことができます。

そして、

3つ目が、不登校の生徒の学習が保証できることです。

以上のメリットを引っ提げて、週2回ある授業の内、1回は動画視聴をベースとした教室での一斉授業、そして、もう1回は実験室での生活科学を中心とした授業を展開します。

その路線自体は間違ってなかったと思うのですが、そこで直面したことが2つあって、

①そもそも学習意欲が低い子(もしくは学ぶことを諦めてしまった子)に対して、どれだけ配慮しても学力が定着しない

ことと、

②実験授業の準備と片付けに莫大な時間的コストを割いているものの、蓋を空けて見れば内容的には中学生や小学生向けのものに落ち着いてしまうこと

が、現実問題として私にのしかかってきました。

前者については、学校を卒業したいのであれば、それなりにきちんと学習に励み所定の単位を修めるべきだという考えを以前から持ってました。

しかし、ある時から勉強が苦手で嫌いなのであれば、無理にそこに執着せずに今ある時間を最大限に活用した方が良いのではないかという疑問が湧き上がって来て、やがてそれが確信に変化していきました。このことについては、機会を改めてもう少し詳しく伝えていきますので、今回はここまでにしておきます。

それから、後者については、実験授業が生徒たちに好評なのは私としては嬉しくもあり自分自身を誇らしくも思えます。しかし、それは小学校、中学校段階で実験授業を通して、生徒たちが理科の楽しさを経験していないだけで、

私が理想とする教育段階を通過してやってきた高校生に対して、私が

さぁ、今日の実験はこれだよ!

 

って投げかけた時に、

え~、先生!それ中学校の時にやったよ!またやるの!?

 

っていう反応が、正常な生徒たちからの反応ではないか。

そう考えると実験授業についても今いる生徒たちをただ楽しませるだけで、高校生に対して行うものではないように感じるようになってきました。

そうすると、座学をやってもダメ、実験をやってもダメで、それでいよいよ私自身の進退が問われる局面となります。

■進退窮まる

教室では40名近くの生徒に対して授業する訳ですが、わざわざ教室に集まってまでありがたい話をしてやれるわけでもないし、既にネット空間には僕なんかよりずっといい話をしてくれる人がたくさんいます。

それなら学校でしかできないことをやればいいと思って実験授業を計画すると、一気に仕事量が跳ね上がるし、頑張って準備したところで生徒たちを楽しませてあげることで精一杯。

生徒たちが楽しんで授業を受けている分には苦痛ではないけども、

教育というものが人生において役に立つ経験や知識を授けることだとすると、自分自身がやっていることは、単なるごまかしではないか。

 

ただ授業をこなすことだけで1日が過ぎていって、自分自身も教師としての成長が感じられない。

 

変化の激しい社会においては、個人の成長が望めないのはリスクに他なりません。

これは、生徒たちにとっても教師にとっても同様のことです。

今後、高校現場で有意義な教員生活を送っていきたければ、授業のスペシャリストになるか、部活動のスペシャリストのいずれかでないといけないと私は考えていて、

授業については、座学についても実験についても厳しいことは、これまでお伝えした通りです。

部活動についても僕が唯一指導できそうなのは、大学時代に経験したアメリカンフットボールくらいのものですが、アメフト部は三重県下の高校には存在しません。

それで、いよいよ私の教員生活にチェックメイトがかけられます。

授業についてもクラブ活動についても、生徒たちのプラスにはならないどころか、むしろ生徒たちの可能性を奪い取ってしまっている。

 

だから、

これ以上は学校現場には関わってはいけない。

 

そう思い、潔く退職を決意した次第です。

しかし、私の教員生活のスタートは、今から14年前の菰野高校からで、そこでまず目指したのは生徒たちに楽しい授業を提供することでした。

それが14年間の歳月を経て、実験授業を通して生徒たちから概ね高評価を受けられるまでに成長できたと考えると、今、このタイミングが私自身の新たなステージへの旅立ちの時だったのかも知れません。

ということで、長らくお伝えしましたが、こういう訳で、私の新生活がスタートしました。

次回からは、

じゃあ一体これから、どうやって暮らしていくのか?

 

といった辺りをお伝えできればと思います。

それでは、今日はここまでとさせて頂きます。

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