私が退職を決意した理由
高校は義務教育ではない!勉強する気がないなら学校に来るな!
授業中に騒いだり、居眠りしたり、宿題が出せない生徒に対して、このような指導をすることがあります。私も数年前まで行っていました。これは、授業態度に問題がある生徒を指導するには有効な方法ですが、これで問題が本質的に解決されたとは思えない自分がいます。
生徒が起こす不適切な行動の原因は、たいてい「授業がつまらない」か「授業が全くわからない」の2つに絞られてきます。このような状況に生徒が陥ると、50分の授業時間、下手したら6時限すべての時間がただ椅子に座っているだけの虚しい時間になります。こうした時間を有効活用しようと、生徒は授業中にこっそりマンガ本を読みだしたり、携帯電話をいじりだします。そのような言動に対して、授業者は冒頭のような指導に入るわけです。
はっきり言って邪魔です。これほどまでに授業者にとって煩わしい存在はありません。私は今でも、このような生徒は学校(高校)に通わなくていいと思っています。
これを見極めるのが先だと考えます。その時に、
このまま学校へ行かなくても自分は一生食べていける!
と思うのであれば、そのまま社会生活を営めばよい。
やっぱ、俺(私)バカだから、学校通わないといけないわ!
と思ったら、学校に通う。これでいいと思います。
一長一短ありますが、義務教育段階移行において、
という風潮は、変わるべきです。実際にどうなのでしょうか? いったい、高校で学習した知識を社会で有効に活用できている人がどれだけいるのか?
日本人は、総合的に勤勉であるとか真面目であるとよく言われます。それ自体は素晴らしいことですが、この勤勉さや真面目さが、学校へ通うことを当たり前だと思い込ませてしまっているように感じてなりません。学問を修めることは大切です。しかし、学校に指定された1週間30コマのカリキュラムだけでは、豊かな人生を送ることが難しくなってきている。
時代はジェネラリストよりスペシャリストを求める方向に転換しているように思います。
学校教育は、時代の流れに合わせて、個性に応じた教育が展開できるように変化していくべきですが、いまだに40人を前に一斉授業の形態から脱却できずにいる。
授業はつまらない、全くわからない。だから学校行くのがだるい。でも友だちと全く会えなくなるのは寂しい。
このように葛藤する生徒が各クラスに一定数います。そうでなくても、3年生になると、受験勉強を最優先する生徒は、受験科目に関係のない教科は切り捨てて内職を始めます。就職組は、就職試験が終わるころには、授業に対するモチベーションが一気に低下します。
もともと、やる気を感じられない生徒であれば、そんなものだろうと軽く流せますが、今まで真面目に取り組んできたように見えた生徒が急変する様をみると、まぁそれなりに虚しさを覚えるものです。
生徒の人生がかかっているからなぁ…
と割り切るのも一つですが、そうなると
今までの授業は、受験や就職のための道具にすぎなかったのか??
と、半ば心理的な裏切りの感情を抱くこともあります。
おそらく、これは私だけが抱え込んでいる問題ではないはずです。それが許せない、認められない先生は、生徒の利益に反しようが、
俺(私)の授業を聞け!
という空気を醸し出して、形だけは授業を成立させるのでしょうが、その教育的効果などたかが知れています。
受験期であろうとなかろうと、
どんな状況でも生徒を惹きつけられる授業を展開すべきなのか?
授業を真面目に受けないなどマナー違反。目上の人の言葉にはありがたく耳を傾けるべきなのか?
いやいや、これは仕組み(教育システム)の問題である!
ここ最近は、そう思うようになりました。
学校に通って学ぶことは大切ですが、むやみに敷かれたレールの上に乗っからなくても良いように思います。しかし、レールから外れた途端に、級友を乗せた列車が走り去り、世間から見放される孤独と恐怖。このプレッシャーを跳ねのけられない限りは、個々が自分自身の生き方を根本から考える意識は芽生えてこない。
子を持つ親の心情は、
わが子には安定した幸せな人生を送ってもらいたい!
であるのは当然のことであり、その子を指導する教師は、身分が安定している公務員。
自ずと学生たちの意識は安定志向に向かっていく。
近い将来、新卒一括採用、終身雇用制度が崩壊していく
と、私は予測しています。
それを見越して、教育内容も変化させるべきだと思いますが、「具体的にどこをどう変えれば良いのか?」まではわかりません。それもそのはず、私自身が敷かれたレールの上を走っている存在なのだから。この先の教育の在り方を模索するためには、一度、私自身がレールから外れて、
こんな生き方もできるんだよ!
ということをまず自分で体感し、世間様にも知ってもらう。そちらの方が、自分自身が納得できる人生が歩めるのではないか??
そのように感じた次第です。