白山高校の東拓司先生は、本当にすごい方だと思うけど、一体マスコミと世論はどこに向かいたいのかよくわからない。
県内外で年150試合以上の練習試合を組むなんて、ブラック部活の典型だし、エアコンの効かないマイクロバスで移動したらダメではなかろうか。今年の夏だったら熱中症で完全にアウトだ。
甲子園出場が決まったら、観客動員のノルマが課せられ、その段取りは、その他の学校職員が行うことになる。これで一気に業務が過労死レベルに跳ね上がるが、そのような面白くない現実は、報道されない。
野球が好きで勤務時間外も惜しみなく生徒たちと一緒に甲子園目指してひたむきになれるのは、教師としての本懐だと思う。私も羨ましい限りだけど、授業がなく生徒指導案件に悩まされない夏くらいはゆっくり休みたいと思っている野球に興味がない教員にとってはたまったもんじゃない。
教員の負担削減のためにクラブ活動を制限するというのは、後者の救済のためにあるが、同時に前者の活動に制限をかけることである。そうすると、今夏の白山高校のような感動が生まれなくなる可能性が高くなるけど、それを世論は良しとするのか??
ある先生が、甲子園を目指すために白山高校に入ると甲子園に上がれないと言われたのを聞いて、私はなるほどと感心した。甲子園に行くために白山高校を目指すのと、白山高校で甲子園を目指すのは、同じようで全く意味が違う。
前者は白山高校で練習すれば甲子園に行けると勘違いしてしまうこと、後者は白山高校の練習環境の良し悪しをすべて受け止められていることに違いがある。そもそも、その他記事にもある通り、白山高校の練習環境は恵まれていない。今回の甲子園出場で、白山高校には優秀な選手が入学してくると思うが、優秀な選手を揃えて、ハードワークを課す努力は、三重県内の他の強豪校でも普通に行っていることである。
これから先が等身大の白山高校の真価が問われてくるが、生徒から「どうせコールド負けだろ」という言葉が飛び交うような高校では、暴力、喫煙などの問題は日常的に起こる可能性が低くないのだが、喉元を過ぎて熱さを忘れたマスコミと世論は、寛容に受け止めることができるのであろうか・・・。