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以前、物理の授業において電流が作る磁場の単元を扱う時に、生徒たちが少しでも興味・関心が持てる教材として、 「AmazingScience君」作の世界一簡単な構造の電車を、ご紹介しました。

世界一簡単な構造の電車は、以前もお伝えした通り、とてもユニークな作品ですが、高校物理の内容を教える上では、幾分内容の網羅性に欠けます。

今回ご紹介する教材は、見た目のインパクトの面では、世界一簡単な構造の電車に劣りますが、電流が作る磁場の単元を過不足なく網羅できます。それが・・・

電気・磁気 電流の働き基本実験セット

です。
※上記商品は、すでに販売されなくなってしまったみたいですが、下記商品で代用できます。(むしろ、より有益な内容となっています。)

対象年齢が10歳程度なので、生徒によっては小学校やご家庭で、すでに体験済みのであることが往々にしてあります。

しかし、度重なる学習指導要領の改訂による小学校教育現場の多忙化や全国的な理科離れ傾向によって、こういった体験的な実験授業を十分に行えていない学校が多くあるように感じます(これは、高校現場で生徒たちを指導する中での個人的な感想です。)

それに加えて、小学生の段階だと、電気・磁気 電流の働き基本実験セットから、高校物理を理解するために必要な知識を吸収し切れていないことが想定されます。したがって、再度この教材を利用することで、実際の現象を目の当たりにして学ぶべき内容を理解していくことは、とても効果的な手段と言えます。

それでいて、1セットが800円程度と、コストパフォーマンスに優れているので、学校の経費で購入するのであれば、すぐに生徒の人数分を発注して授業に組み込むことが可能です。私は、自費で20セット購入して、授業で活用しました。

では、実際に箱を開けて行きます。

まず、この教材のありがたいところは、授業資料としてそのまま流用出来そうなくらい丁寧な取り扱い説明書がついていることです。日々の業務が忙しくて、授業資料を準備をする暇がない先生にとっては、とても助かります。

実物はこんな感じです。

箱の中にぎっしりと部品が詰まっています。

今から説明書に沿って、利用方法を解説していきます。

準備1.100回巻きコイルを作ろう。

ここでは、エナメル線の両端を紙やすりで磨き、ボビンにニクロム線を巻き付けて、ソレノイドコイルと同じ形状のコイルを作ります。

(ここでは、エナメル線をボビンの端から端まで巻き付けたら、折り返して再び元の位置まで巻き付けるので、厳密にはソレノイドではありません。)

ここで作ったコイルは、次に続く実験で活用することになりますが、この段階で強調しておきたいのは、余ったエナメル線です。

形状からおわかりの通り、このエナメル線を利用すれば円形コイルの定性的な特徴を確認することが出来ます。実験1の装置を組み立てて電流を流したら、付属の方位磁石を利用して、まず最初に円形コイルが作る磁場の特徴を確認してください。円形コイルが作る円の一方の面からN極の磁場が発生するなら、反対側の面からはS極の磁場が発生します。

そして、電池ホルダーにセットする電池の向きを逆にすると、先ほどのN極、S極の関係が逆転します。最後、この部分のまとめとして、電流によって発生する磁場の向きが右ねじの法則を満たしていることを整理して伝えられます。

実験1.コイルや電磁石のはたらき

ここでは、準備1で作ったコイルの特性を確認していきます。

ここで理解しておきたいポイントは、
1.鉄くぎのように磁場の方向に強く磁化される「強磁性体」と自ら磁場を発する「磁石」磁場中での振る舞いを区別して理解すること。
2.コイルに鉄芯を挿入することで、鉄芯が存在する空間の透磁率が大きくなる ため、鉄芯の先端にくぎを近づけるとくっつくということ。
となります。

1についてきちんと整理しておかないと、教科書などで磁場の様子を表現する図として挿入されている磁力線がどのような特性を持つ物質に対して矢印の方向に作用するのかが理解出来なくなります。その1の実験で、コイルにくぎを近づけたとき、くぎがコイルの内部に引き込まれて静止することに対して一定の説明を与えて、この状況においてくぎではなくて磁石を近づけたら、引き合うもしくは反発するということを区別して考察しておくと理解が深まります。

実験2.電気の流れと電磁石の極、実験3.電流の大きさと電磁石の強さ、実験4.コイルの巻数と電磁石の強さ

実験2~実験4では、タイトルの通り高校物理の教科書に掲載されているソレノイドコイルの一般的な性質が確認出来ます。

実験2においては、電池の向きによって、極性が逆転する だけでなく、右ねじの法則を参考にして、コイルに流れる電流の向きから、コイルのどちら側がN極もしくはS極になるかを実際にきちんと推測できる ようになると理解が深まります。

さらに、H = n×I の式の内、実験3では電流 I の大きさと磁場の関係実験4では、(厳密さには欠けますが)単位長さ辺りの巻数n の大きさと磁場の関係 を定性的に理解することが出来ます。

実験5.モーターを回す

この実験では、実際に直流モーターを作成します。ここでは、コイルの両端に設置された磁石と電磁石が反発しあうことで直流モーターが回転する仕組みが理解出来ます。また教科書の図だけでは理解が難しい整流子のはたらきは、モーターの構造を直接見て、コイルが回転しても電流の向きが変わらないことを確認することで理解出来ます。

おわりに

磁気分野については、ほとんどの生徒が、磁石にはN極とS極があって、鉄などの金属を近づけるとくっつくという程度の経験しか持ち合わせていないと考えておいた方がいいと思います。従って、広範囲に渡って生活体験を授業展開の切り口として活用できる力学分野とは異なり、電磁気分野については、授業展開のきっかけとなる経験を実験などを通して積み重ねていく必要があります。

遠い過去に比べると映像処理技術が普及し、インターネット環境さえ備えていれば、いつでもどこでもとてもわかりやすい説明動画が簡単に視聴できる環境にあります。場合によってはそれだけで内容理解が完結してしまうこと程です。しかし、今まで学んできた知識が実際に目の当たりにした現象と一致したときの感動もひとしおなので、決して実験授業が無駄なことはありません。

磁気分野の授業展開でお困りの先生が見えましたら、是非一度、電気・磁気 電流の働き基本実験セットの利用を検討してみてください。

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