働き方改革に求められているのは、我々教師たちの覚悟である!
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真に働き方を改革するのであれば、我々教師たちはそれなりの覚悟をしないといけない。

(記事はすでに削除されており、閲覧できない状態になっています。)

私は、このような記事を見ると、虚しい気分になる。
「また、無駄な努力をしているのか・・・」と。

何を効率化したのかは分からないが、例えば100m走を10秒で走る陸上選手が9秒5で走ることが出来れば、世界新記録である。しかし、それだけ画期的な効率化を達成したとしても、120分の業務が110分に短縮されたような効率化では意味がない。

「夜9時に退勤していた教師が8時50分に帰れるようなったくらいで果たして喜ぶものなのか?」

と私は言いたい。

その効率化を測定するためにタイムカードを導入する。そして、今度は測定するという行為の分だけ、教師の負担が増える。その役割を果たすのは、おそらく管理職(たぶん教頭もしくは事務職員)になると思うが、教職員組合は、一般の教諭の待遇改善は訴えるが、管理職の待遇改善についてはあまり配慮がないように思うことがある。

そして時間外の留守番電話対応など、保護者からのクレームなどに翌日現場で対応するのは、そこで働く教師に変わりない。電話番を教育委員会に所属する職員に丸投げしたところで、今度は情報を共有するという手続きの無駄が発生する。

真に働き方を改革するのであれば、今現在の教育活動がどのように生徒たちに機能しているのかを精査しないといけない。

私が思いつく限りであるが、高等学校であれば、次のような改革案がある。

■進学校の場合
1.英国数理社の座学形式の授業は大手予備校から格安で授業動画を入手して、それを日々の授業に置き換える。
2.定期考査は、進研模試や河合塾の全統模試を採用し、定期考査作成の負担をなくす。
3.英数国理社以外の教科の教員については授業のみの非常勤講師とし、国公立大学を受験した経験のある教諭の割合を増やしていく。
■それ以外の高校の場合
4.学習意欲のない生徒は積極的に進路変更を促し、手に職を持たせる。

上記について、順を追って解説していく。

1.英国数理社の座学形式の授業は大手予備校から格安で授業動画を入手して、それを日々の授業に置き換える。

映像授業と言えば、私は東進ハイスクールを連想するが、ここは少し割高である。しかし、それなりの質が担保されたものとして、リクルートグループが提供するスタディサプリというものがある。これであれば、月額980円で全ての科目について制限を受けることなく視聴することができる。(ちなみに東進だと1講座70000円程度が標準のよう。)

これを利用して、教室の各机に動画再生機能だけを持ったモニターを設置しておけば、生徒たちは自分の学力に応じて、学習スピードを調節しながら勉強が出来る。教室の黒板に板書して行う授業は、これに変えてしまえばよい。

そこまでの予算が無ければ、各教室に電子黒板を1台設置すればよい。そうすると巻き戻し機能が使えないから、授業内容についていけない生徒が出てくることが予想される。そのような生徒に対しては、放課後の教室を開放して、自習させるなどすればよい。そもそも、スタディサプリはネット環境さえあれば、自宅でも利用できる。授業についていけなければ、放課後に先生に質問し不明な点を解消して、家に帰って再び視聴し復習するなどを通して学習内容を定着させればよい。

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2.定期考査は、進研模試や河合塾の全統模試を採用し、定期考査作成の負担をなくす。

以前「物理教育が困難な理由(その3:偏差値競争が生み出す学習習慣)」において論じた内容とも重なるが、私の所属する県内の進学校の教員は、やたらと進研模試や河合塾の全統模試などの校外模試の結果に神経質になっている。

模試で良い成績を残すために、直前になると過去の問題を生徒たちに配布して課題として、目先の模試で結果を残すために生徒たちに傾向と対策を強要する。例年の生徒たちに比べて成績が悪いと、模試のアドバイスに従って、苦手分野とされるところの課題を大量に配布する。

それでいて、中間考査、期末考査と学校独自の定期考査も実施するわけであるから、教える方も学ぶ方も疲弊する一方である。

挙句の果てには、私の教科は頑張って成績を伸ばしているのに、他教科の成績が全然伸びていない。一体、あの教科の先生は何をしてるんだと、陰で罵る始末である。(特定教科への学習を強いる代償にとして、生徒たちが他教科の学習に手が負えなくなっていることも知らずに・・・。)

そのようにシャカリキに頑張る先生ほど、他の先生は楽しすぎだと言わんばかりの態度をとったり発言をしたりすることがある。

私は、そこまで模試の結果にこだわるのであれば、いっそのこと定期考査を校外模試に置き換えてしまえばよいと考えている。普段の授業については、基礎基本を土台としながら応用として、校外模試の問題を意識した演習を行っていけばよいのである。

校外模試は、進学のプロ集団が大学への進学可能性を判定するために作成した問題である。数年ごとに多様な校種を経験しないといけない県立学校の教師が作成するテスト問題よりも断然優れているし、その結果は全国の高校生と比較されるので、進学指導のための資料として信ぴょう性が高い。学校内での成績については、その模試の結果を判断材料として活用すればよい。

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3.英数国理社以外の教科の教員については授業のみの非常勤講師とし、国公立大学を受験した経験のある教諭の割合を増やしていく。

私はかつてパソコンが出来ないから教務部などには所属したくないと平然と発言している教師や進学指導を行えないが故に学年主任を固辞した教師を見てきた。いずれも5教科以外のベテラン教諭である。

学歴で差別するわけではないが、5教科以外の教科を担当する教諭については、センター試験(共通1次試験)から2次試験という流れで一般入試を経験していないことが多い。それ故に、生徒たちがこれからどのようなプロセスで受験勉強を進めていくのかであったり、スランプに悩む生徒たちにどのようなアドバイスをしてあげた方が良いのかということに対して苦手意識を抱く。

だから、一般入試を経験したことがない教師は、進路指導が必要とされる3学年の担任を敬遠したり、受験勉強に向けて生徒の士気を高めるなどの舵取りが求められる学年主任を担当しない。

そして、校内の人事配置において管理職は、こういった事情を理解しているために、進学指導に苦手意識を抱く教員をそのような役職に配置しない。それが、校内においては、教員間の負担格差につながるのである。

4.学習意欲のない生徒は積極的に進路変更を促し、手に職を持たせる。

学校内においてだらしなく授業を受けている生徒たちが、休日のアルバイトなどに関しては、きちんと働いていることがある。驚くべきことに、教師にため口をきいたり暴言を吐くなど、授業態度が極端に悪い生徒であっても、アルバイト先で出くわすと、きちんと敬語を使って接客してくれるのである。

非行が重なり高校を中退した生徒でも、居酒屋などでばったり出くわすと、懇切丁寧に接客している。今から美味しい食べ物をつまみにお酒を飲んで羽を伸ばそうとしている手前、せっせと働く生徒がより一層立派に見えることがある。

このことについて、生徒に聞いてみると、「学校と仕事(バイト)とは別!」と返答される。私はそれならば、高校を中退した生徒たちの身分や待遇を改善して、今の自分には学問は必要ないと思っている生徒たちに対しては、積極的に就職へと斡旋すればよいと思う。もしも、数年後に自分にはもっと教養が必要であると思うのであれば、その時には一旦休職して、定時制高校や通信制高校を利用すればよい。

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■問われているのは、教職員の覚悟である

一通り私の意見を述べてきたが、このようにすれば、高等学校における必要人員と人件費はかなり削減できる。その削減した分を小学校であれば、非常勤講師拡充のための予算として利用し、クラス担任を受け持つ教師に空き時間が出来るような配慮を施せばよい。中学校においては、外部指導員活用の財源として利用すればよいだろう。

上記が達成されると、それなりに教師の負担は削減されると私は考えるが、その際、高等学校においては、特定教科の採用数が減少、指導困難な学校への転任、小中学校教諭としての転属が余儀なくされるだろうが、そのような状況を今現在勤務している教職員は甘んじて受け入れることが出来るのであろうか??

業務を削減してほしいとか、人員を増やしてほしいと不平不満を漏らしているが、それらを根本的に解決することは、我々の待遇面に関して何かしらのひずみを生じる。その変革のプロセスにおいて、今まで教育公務員と言うぬるま湯に浸かって来た教員ほど、待遇悪化の憂き目にあうことになるが、それを受ける入れる覚悟が我々にあるのだろうか。働き方改革において、今まさに問われているのは、教職員の意識を改革する覚悟であると私は考えている。

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