今回は、第2回目の4ポイントの実践方法について解説していきます。
動画による解説はこちら(↓)をご確認ください。
0:20 4ポイントセットの作り方 | 1:18 実演及び注意点 |
2:40 発展動作に関わる知識の整理 | 4:23 発展動作の実演 |
↑時間をクリックすると、それぞれの項目に関する説明から確認できます。
目次
4ポイントスタンスの形成
まずは4ポイントスタンスの作り方から確認していきます。
最初に、肩幅程度に足を開きまっすぐに立ちます。
その姿勢から背中のアーチを維持したまま腰を真下に下ろしていきます。
この姿勢がファンダメンタルフットボールポジションです。
そのまま上半身の姿勢を崩さずに、股関節を前に倒すだけの意識を持って、手を地面につけます。これで、基本的なオフェンスラインの3ポイントスタンスが完成します。
3ポイントスタンスの状態から左右いずれかの足を半足分後ろに下げると、ディフェンスラインの基本的な3ポイントスタンスが完成する。
さらに両手を地面につき、左足を半足分、右足を1足分下げれば、4ポイントスタンスの完成です。
今回は、ここから地面を蹴ってダミーにヒットします。
ヒットする時は、6ポイントヒットの時に確認したフォームシバーで当たります。
4ポイントヒットにおいては、下半身の力を上半身を経由してダミーに伝える方法を学びます。
注意点について
ここで注意点について4点、解説します。
1つ目はフォームシバーの形を崩さないこと。
下半身の動作を連携させると、上半身の意識がおろそかになり、手と肩だけで当たるなどフォームシバーの形が崩れます。これだと、特に肩に負荷がかかり、今後肩の負傷に繋がる危険性があるので、手、肘、肩の面で当たるように指導してください。
2つ目は、ヒットする前に手をつかないこと。
ダミーにヒットする前に、バランスを取ろうと地面に手を付けてしまうと、ヒットの力が弱くなるので、ダミーにヒットするまでに、バランスをきちんと保つことを意識してください。
3つ目が、まっすぐに当たることに細心の注意を払うこと。
6ポイントヒットであれば、両手を地面につけていたので、軸がずれると言っても左右にずれる程度でしたが、4ポイントヒットでは、地面に手を離して、下半身を伸展させる間に、左右だけでなく、上下のずれも発生することがあります。
この場合も、左右の腕でフォームシバーを作る意識を持って、まず左右のずれをなくして、その後に、動画をチェックして上下のずれを自覚し、修正するように、段階を踏んで指導してください。
4つ目が、ヒットした瞬間に体幹を固める意識を持つこと。
4ポイントヒットにおいては、ダミーに当たって、それで終わりではないという意識を持つことが大切です。これについては、発展動作において解説を行います。
発展動作について
ここで、発展動作に関わる知識の整理を行います。
今回、確認するのは、力の定義と作用反作用の法則です。
まずは力とは何かということについて確認します。
物理学では、力は大きく2つの定義があります。
1つ目が、物体の運動状態を変化させるもの。
2つ目が、物体の形状を変化させるもの。
1つ目の定義については、例えば、QBがボールを投げることから、フェンスラインがディフェンスプレーヤーにヒットして奥に押し込んで、スクリメージラインを押し下げることなどがそれに当たり、これについては、何かを動かすものとして、皆さんも意識出来ていると思います。
しかし、力は物体の形状を変化させるものであるということになると、意識が届いていない選手をしばしば見受けられます。これについては、作用反作用の法則と併せて説明します。
作用反作用の法則とは、自分が与えた力は、必ず自分のところにも返ってくるということを意味しています。これはつまり、自分自身が対戦相手にヒットしたときの衝撃は、常に自分のところに返ってくるということです。
従って、ヒット力を向上させる為には、自分自身の身体がそのヒットの衝撃に耐えられるだけ強靱でなければなりません。たとえ、強力なヒットが出来るスピードとパワーを備えていたとしても、対戦相手にぶつかって、自分の身体の芯、つまり体幹が崩れてしまうと、その力を相手に全て伝えきることが出来ません。
つまり、対戦相手にヒットして力を作用させて、その運動状態を変化させるためには、自分自身の身体の形状を容易に変化させないことが大切になってきます。
そのような理由から、4ポイントヒットなどにおいては、ヒットして終わるのではなく、ヒットした後に体幹を固める意識を持つ必要があります。
ヒットした後に、体幹を固める意識を持って、4ポイントヒットを行うと、ダミーにバーンと当たって、さらにグイッと押し込む感覚をつかめます。物体同士が衝突すると、両者の反発力によって、反対方向に跳ね返ります。体幹を固める意識を持つというのは、その跳ね返りの力に逆らって、少しでも前に身体を進める意識へと直結します。これがオフェンスラインであれば、ブロッキングのしつこさにつながっていきます。
体幹を固めてダミーを押し込む感覚を掴むときには、ダミーとの距離を出来る少し近づけて下さい。それによって、脚が滑りやすくなるので、その場合は、パートナーに後ろ側で足を支えてもらって下さい。
4ポイントヒットは、動作そのものは単純ですが、見た目以上に難易度が高く、高度な身体感覚を必要とします。ファンダメンタルは、初心者の基礎ではありますが、一流の選手になるためには、常に初心に立ち返り動作の本質を追い求める姿勢が大切です。