2017年から導入された返還不要の給付型奨学金が、
2020年4月から大幅に増額されます。
非課税世帯を中心に経済的事情によって進学を断念せざるを得ない学生を
サポートするための給付型奨学金ですが、
これは手放しに喜べるものなのか?
我々はよく考える必要があると思います。
給付型奨学金の財源は、消費税です。
教育の無償化が進むにつれて、我々の税金の負担額は増えていきます。
消費税が2019年10月に現行8%からさらに上がって10%になる予定です。
たかが2%。100円の商品を購入したら2円ポッチ。
しかし、1年間で考えると生活費に100万円使ったら2万円。
現在30代の私が死ぬまで50年間払い続けるとなると100万円の負担増。
目先の金額で判断すると対したことではありませんが、
長期的に見るとかなり大きな負担になります。
しかも、これは高卒で就職した社会人や中卒や高卒で就職する予定の学生からも
もれなく徴収するされるものです。
それだけではありません。かつて有利子、つまり年間1~2%の
利子付きで奨学金を利用して、
現在返済している人からも徴収されるものです。
目論んでいるようですが、
今回の給付型奨学金も含め、
教育の無償化が増税のための
格好の大義名分として利用されています。
当然のことですが、消費税を引き上げると
国民の暮らしはますます厳しくなります。
そこで、窮乏化していく国民の怒りを静めるために
教育の無償化と言う免罪符を掲げて、
国民たちに納得させようという魂胆が、
私の眼には透けて見えてきますが、
これは単なる幻でしょうか。
そもそも、どうしてもなりたい職業があって、
進学を志す学生たちは、たとえ返済の義務が生じても
そのリスクをとって、貸与型奨学金を利用して
借金してでも進学するでしょう。
そうして、今までの世代は、
大学に進学してから、さらにアルバイトをして、
生活費と学費を稼いできたのではないでしょうか??
これには何か裏があるように思えて仕方ありません。
例えば、子どもの数の推移と大学の数。
引用:図3 こどもの数及び総人口に占める割合の推移 、大学数の推移
子どもの数は、年々減少しているにも拘わらず
大学の数は減少するどころか、2010年まで増加しています。
大学進学者が減少すれば、大学は潰れてしまう。
それを何とか食い止めようと、あの手この手で
子どもたちを大学に送り込もうとしているのではないでしょうか。
それは、なぜでしょう??
こちらを見て下さい。
(少し古いデータですが、)
これは、天下り受け入れ私大のリストです。
大学職員のポストは、
文部科学省を始めとする官僚たちの天下り先でもあります。
奨学金として学生たちに支給されたお金は、
最終的に授業料として大学に支払われる事になり、
そして、その授業料は大学職員の人件費として賄われます。
ちなみに私立大学職員の年収は幹部クラスだと
1000万円とも言われています。
一方、奨学金の給付を受けた学生たちは、
たとえ学費が軽減されたとしても
実家を離れて下宿をすれば、
多額の生活費を負担しなければなりません。
非課税世帯の家庭から、
生活費の援助を期待することは出来ないでしょう。
倹約に努めてもアパートの家賃や食費、光熱費だけでも
5万円くらいは毎月必要になってきます。
奨学金制度が充実するのは喜ばしいことですし、
将来の夢や目標がある若い世代の人たちには、
有効に活用してもらい制度です。
しかし、安易に進路選択してはいけません。
高校3年生になったものの、未だに自分は将来何をしたいか決まっていない。
これからどうしよっか??
他の友だちがほとんど大学とか専門学校に進学するし、お金をもらえるから自分もとりあえず大学に進学しておこう。
などと軽い気持ちで決断して、
多額のお金と大量の時間を消費すると後で後悔することになります。
高校卒業後の進路が明確に決まっていないのであれば、
とりあえずどこかに就職して生計を立てられるようになっておくか、
そのまま実家に残って生活しながら、
自分自身の人生を見つめ直した方がマシな時があります。
安易な進学によって、将来的に後悔する
学生が現れるかもしれない一方で
その不幸の蜜をすすって喜ぶ
天下り官僚たちの存在を
忘れてはいけません。