【物理基礎】No.3 力のつり合い(③物体にはたらく力)
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はじめに

 

今回は、物体にはたらく力の見つけ方について、もう少し詳しく見ていきます。

 

 

物体にはたらく力を作図する手順については、前回の作用反作用の法則の項目でお伝えしたその手順に従えば良いのですが…

 

それが現実世界の現象を忠実に再現しているかというと、そうではないので注意が必要です。

 

そのために、物体にはこういう力がはたらくと説明しても、

 

えっ、何で?

 

という疑問がよく出てきます。

 

こういった疑問を解消するためには、物体にはたらく力をイメージするための前提条件を把握した上で定義や法則に対して忠実になる必要があります。

 

□動画による解説はこちらから↓↓↓

 

質点について

 

実は、高校物理で取り扱う物体の大半は、質点であることを前提にしています。

 

質点というのは、大きさを持たない物体のことを言います。

 

大きさを持たない物体とはなかなかイメージ出来ませんが、敢えて言うなら、質量をもった目に見えないほど非常に小さな点が質点です。

 

物体が大きさを持たないほど小さい…

 

だから何なの?

 

それは、大気の影響や回転の影響を考えないということです。

 

これについては、スカイダイビングなどを考えるとわかりやすくなります。

 

 

飛行機で上空まで行って、そこから飛び降りた後、途中でパラシュートを開いて落下する場合と、パラシュートを開かずに落下する場合では、その後の結果は全く違ってくると思います。

 

パラシュートを開いて、空気との接触面積を増やすことで、空気の抵抗力を利用して、落下速度をコントロールするわけですね。

 

 

このように物体が大きさを持つと、空気を初めとする、流体から何かしらの力がはたらくわけですが、

 

高校物理では、特に断りがない限りは、物体は大きさをもたない質点であると考えて大気の影響や回転の影響については考えないようにしています。

 

 

こういったことを前提として考えているのですが、実際に教科書や問題集をひらいて問題を見ると、そこの図には、あきらかに大きさを持つ物体が描かれている。

 

 

大きさを持たない物体を取り扱うと言っておきながら、大きさのある図が出てくる。

 

そういう矛盾をきちんと整理していかないと、授業中に先生の説明していることが支離滅裂に聞えてしまうので注意が必要です。

 

したがって、高校物理では、

 ①:取り扱う物体は大きさをもたない質点であると仮定する。

 ②:しかし、ある程度の大きさを表現しないと議論が進められないので、

   便宜上、一定の大きさを持つような形状の図が書かれている。

 

今、私たちは物理の基礎を学んでいるところで、物体の回転だったり、風や空気の影響まで含めて考えると、複雑になりすぎて、本質的な部分が理解出来なくなってしまいます。

 

まずは、できる限りシンプルな状況から考えて、物体にはたらく力を吟味して、それから、その物体がどんな運動をするのかであったり、仕事やエネルギーの関係はどうなっているのかということを考えていこうというわけです。

 

だから、これから議論する物体の振る舞いが、日常生活で目にする物体の運動とは、少し違って見えるかもしれません。

 

したがって、高校物理で物体の運動について吟味する時は、教科書に書かれた定義や法則に対して忠実になることが大切です。

 

教科書に書かれている、力の定義とか作用反作用の法則に従うと、物体にはたらく力はこうなっている…

 

 

だから、物体にはたらく力はつり合っている!!

 

 

といった議論が必要になってくるわけです。

 

したがって、物体にはたらく力をイメージするためには、

 

1.物体の大きさは考慮せず、特に断りがない限り、物体の回転や大気の影響を考えない。

2.現実世界の現象とのずれがある時は、力の定義や運動の3法則に忠実になる。

 

こういった事に注意する必要があります。

 

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具体的な作図例①

それでは、いくつかの例について考えていきます。

 

まずは、空中に投げられたボールです。

 

 

矢印は投げられたボールが移動する方向を指しています。

 

このボールにはたらく力を考えるわけですが、直感的に、こちら向きに矢印を書きたくなるところです。

 

 

一方で、小さいころからキャッチボールをしたり、ボールを使って遊んできた経験のある人だったら…

 

勢いよく投げられたボールは、空気の抵抗力を受けて減速するからこちら向きにも力がはたらくはずだと…

 

 

こういう風に考えるかもしれません。

 

このような直感的な思考は、古代ギリシャ時代のアリストテレス時代から約2000年間支持されてきました。

 

 

アリストテレスは、自身の著書の中で、

 

運動体はこれを押す力がその働きを失った時に静止する!

 

 

と主張しました。

 

これは簡単に言えば、物体が運動する方向に力がはたらくということで、物体にはたらく力が強ければ強い程、物体の速度は大きいということを意味しています。

 

日常生活での経験から考えると、こちらの方がしっくりくるのですが、これに対して、ガリレオガリレイは16世紀の後半頃に異議を唱え、それが後の慣性の法則へと繋がっていきます。

 

 

このことについては、また別の講義で話しますが、空中に投げられたボールが減速するのは、空気の抵抗力がはたらくからであり、

 

もしも仮に空気の影響を排除した理想的な空間において、はたらくのは地球からの重力だけである。

 

 

 力とは物体の運動状態を変化させるものである…

 

アリストテレスによるいわゆる直感的な主張が、2000年間の長きに渡って疑問を持たれることがなかったことからも、このようなガリレオが唱えたような考え方はなかなか受け入れ難かったのかもしれません。

 

 

だからこそ、自分自身の経験的知識と物理学で定義されている事との違いに注意をして「それはそれ。これはこれ。」という風に意識的に切り分けて解釈していく姿勢が必要になります。

 

 

 

したがって、空気の影響を考えないのであれば、空中に投げられたボールにはたらく力は重力だけになります。

 

重力がはたらく方向にのみ、つまり、鉛直方向の成分だけをみると等加速度運動するから物体の運動状態は変化する

しかし、水平方向の成分だけを見てみると、物体の運動を変化させるものは存在しないから、物体は等速直線運動する。(物体の運動状態は変化しない。)

 

以上のことから、物体にはたらく重力は図のようになります。

 

このようにして、物体にはたらく力をイメージするときは、直感ではなく理想化された状況下で、予め定められている定義に従うことが求められます。

 

□この単元の記事

 

≪講義編≫

≪問題編≫

 

 

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