【物理基礎】No.3 力のつり合い(講義編)
スポンサーリンク

 

はじめに

 

 

今回は力のつり合いをテーマに講義を進めて行きます。

 

力と言うと、日常生活の様々な場面でよく使われる言葉なので、何となくイメージは出来ると思うのですが、この何となく理解できてしまうが故に、理解があいまいになってしまいやすいところになってきます。

 

たとえば、「君は学力高いねぇ~。」というときの学力と言うと、頭脳の力があるような感じがします。

 

しかし、これは物理で取り扱う力ではありません。

 

 

このように、力がつく言葉が出てくると、経験的に頭の中でその意味を思い浮かべて理解したつもりになってしまうのですが、そこのところをはっきりとさせておかないと、この後の学習が曖昧なものになってしまうので、まずは、「力」という言葉の定義から入っていきます。

 

今回の学習内容
1.高校で学習する力は、主に「物体の運動状態を変化させるもの」という意味である。
2.物体が受ける力は、主に「場の力」と「接触力」の2つである。
3.運動の3法則の内、第1法則は「慣性の法則」、第3法則は「作用・反作用の法則」である。
■動画での解説はこちらをチェック

1:力の定義

高校で学習する物理基礎や物理で扱う力の定義は、たったの2つしかありません。

 

まず1つ目が、物体の運動状態を変化させるもの。

 

これは、こういうことです。止まっているものがあります。これを動かそうと思ったら、その時には必ず力が必要です。

 

 

それとは、逆に、動いているもの、例えば自転車に乗っていて止まる時に、ブレーキを掛けます。キキキキーッって止まる時に、ブレーキペダルを握り締めます。

 

 

こういう、動いているものを止める時にも力が必要です。

 

そして、2つ目が、物体そのものを変形させるもの。

 

 

 これは、例えば、飲み終わった後のペットボトルとかアルミ缶を手でぐちゃって握りつぶす。あれのことを言っているわけです。要は、物体に力が働かなければ、勝手に変形することはないという事です。

 

 

今、力について2通りの説明をしたわけですが、この講義全般で扱う力は、1つ目の物体の運動状態を変化させるものがほとんどになります。2つ目については、ばねを伸ばしたり縮めたりするところくらいです。

 

スポンサーリンク

2.いろいろな力

 

こうして、力について2つの定義が出来たおかげで、力にはどのようなものがあるのかを見つけ出すことが出来るようになりました。ここでは、力について大きく2種類、「場の力」「接触力」について学習します。

 

場の力(重力、静電気力、磁力)

まず1つ目の場の力、これはこの力のことです。今、私が持っているボール。

 

 

このボールを持つ手を離すと、真っ逆さまに落ちます。この時、ボールに重力が働いていることは、皆さんも知っています。

 

これが1つ目の場の力、つまり接触していなくても働く力のことです。

 

他にも静電気力や磁力とかありますが、ここでは代表的なものとして重力をあげておきます。

 

ちなみに、物体の質量をm、重力加速度をgとすると重力の大きさはmgで表すことが出来ます。これは、この後の問題で使うので覚えておいてください。

 

 

接触力

 

次に接触力です。接触力はたくさんあります。先ほど、重力の話をしました。

 

垂直抗力

 

私にも重力は働きますが、真っ逆さまに落ちることなく平然と床の上に立っています。

 

 

これは、重力に抵抗するように床の面に対して垂直に力が働いているからです。これが、垂直抗力という力です。

 

 

今、私の足は床の面に接触しています。その接触面とは垂直な方向に力が作用しています。

 

糸の張力と弾性力

 

それでは、次にいきます。このボール。糸に繋がれて止まっています。

 

 

このボールは重力によって下向きに引かれているものの、地面に落ちることなく静止しています。

 

私が直接、このボールを引っ張っているわけではありません。

 

物理では、このボールは、糸が引っ張っていると解釈します。この力を糸の張力と言います。

 

実際には、誰かが糸を引っ張って支えているからボールが宙に浮いているわけですがボールに直接触れているわけではありません。

 

こういう時は、糸が引っ張っていると解釈します。

 

そして、この糸がばねだったら、その時にはたらく力のことを弾性力といいます。

ばねの弾性力は、伸びた長さや縮んだ長さに比例して、その長さをx、ばねの強度に応じて定まる比例定数をkとすると、k×xになることがわかっています。これをフックの法則と言います。

浮力・摩擦力 

 

後、ボールが落ちないと言えば、水の中入ったボールが浮かんでいることがあります。この時にはたらく力を浮き上がる力ということで浮力と言います。

 

それから、最後にもう一つ。このモニターを引っ張って動かしてみようと思うのですが、なかなか思うように動きません。これが摩擦力です。

 

 

床の面が物体の運動を妨げようとする時になどにはたらく力です。

 

 

スポンサーリンク

3.力の法則

 

ここまでに力の定義と力の種類について確認してきたので、ここから実際に物体の運動について学習していきます。

 

実は、物体の運動には、3つの法則があるということがニュートンによって発見されたのですが、ここでは、その内、作用反作用の法則慣性の法則について確認します。

 

作用反作用の法則

 

先ほど、摩擦力の説明をしたところで、一般的には物体の運動を妨げる方向にはたらく力であると言いましたが、必ずしもそうではないので注意が必要です。

例えば、歩くという動作は、どうやっているのか。人は歩く時に、地面を蹴ります。この矢印のように地面を押しのけようとしているんです。

 

 

それに対して、そうはさせまいと地面から人に摩擦力が働きます。

 

 

人間は前に進む時に、摩擦力を使って進んでいるんです。この時の摩擦力を運動を妨げる力といったら変な話です。

 

実は話の本題は、そこにあるのではなくて、今示した2つの力にあります。

 

 

人は地面を蹴って、その蹴った時の反発力を使って前に進むわけですね。

 

これがニュートンが見出した運動の1つで、作用反作用の法則といいます。

 

 

人が地面に力を及ぼすとき、同時に地面が人にその力と同じ大きさで、逆向きの力を及ぼす。

 

 

力を作用させてたら、かならず反作用の力が返ってくるということです。これが作用・反作用の法則です。

 

慣性の法則

 

そして、もう1つの慣性の法則ですが、今、私は床の上に立ってます。重力と垂直抗力がはたらいた状態で止まっています。

 

2つの力が働いているおかげで、私の運動状態は変化することなく地面に静止しています。

 

これは、重力と垂直抗力が互いの力を打ち消し合っているからです。

 

 

力を足し合わせることを力の合成、合成された力のことを合力と言いますが、

 

 合力が打ち消し合って0になっている状態のことを力がつり合っている。

 

と言います。

 

※力の合成と分解について、詳しくはこちらの記事をご確認ください。

 

 

 

慣性の法則とは、物体にはたらく力がつり合っている時、物体は静止し続けるか等速直線運動することを言います。

 

物体が静止し続けるというのは、今の状態です。

 

等速直線運動するというのは、例えば、電車に乗ってるときをイメージしてください。電車が動き出そうとするときは、電車が加速しているので「おっとっと」ってなりますが、それから一定速度で動いていると、そうはならないです。

 

 

電車の中の人も、一定速度で動いてます。この時、働く力は、重力と垂直抗力だけで力はつり合っています。力がつり合っているときには、物体は静止し続けるか等速直線運動する。これが慣性の法則です。

 

 

※作用反作用の補足と力の作図についての詳しい解説は、こちらの記事を参考にしてください。

■作用反作用の法則

■物体にはたらく力の見つけ方

 

 

□力のつり合いの問題解説記事はこちら

 

 

スポンサーリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事