まずはこちらの記事から確認ください。
まず、グループLINE内でのやり取りによって②の要素が起こります。そして、自殺した生徒にとっての唯一の相談相手が他校の生徒だったため、疎遠になり易かったというマイナス要素が働いて①の状態へと陥ります。これによって、①、②の2つの要素が同時に成立してしまったと考えることが出来ます。
自殺にまつわる原因分析については、ここまでとさせていただきますが、この記事に関連して、事後の対応に個人的に違和感を感じるところがあったので、その部分について今回はお伝えさせていただきます。
文部科学省が定めるいじめの定義より
文部科学省はいじめについて次のような見解を示しています。重要な部分を赤で表示しておきます。
私が違和感を覚えたのは、
平時においては、生徒が心理的に苦痛を感じるものはいじめであると力説する割には、非常時においては、「 8月に自殺し、いじめが原因だった可能性がある」と断定を避ける表現を行っている
ところです。この点について、県の教育を代表する教育委員会と学校を代表する学校長など、代表者の弱腰の対応には、不快感を隠せずにはいられません。
これは言い過ぎであることを承知の上で言いますが、平素からこのような態度しかとれないからこそ、このような惨事に至ってしまうのではないでしょうか。
「8月の自殺の原因がいじめによるものであった。」
と認めてしまうことによって、何か学校側に不都合なことがあったと邪推されても仕方ありません。
自殺の原因がいじめによるものだと学校側が認めたら、おそらく保護者は、学校に対して何かしらの責任を問うことになるでしょう。
LINEでのやりとりの中で
1.心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)
があり、別の高校に通う友人が相談を受けていたということは、
2.当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じていた
のは明らかであり、この2点からいじめを受けていたと断定出来るはずです。
遺族に対して誠意を尽くす
そのためには、自殺した生徒の遺族に対する学校としての立場を明確にするために、次の2方面から調査にあたらないといけません。
2.いじめの加害者とされる生徒から事情を聴きとり事実確認を行う。
1については、7月10日にいじめアンケートを実施しています。その時に自殺した生徒は、学校に助けを求めるチャンスはあったはずです。
生徒からすると、
学校に言うといじめがエスカレートしたり、自尊心が傷ついてしまう。
もしくは、学校のクラス担任や、その他の教員全員が信用できなかった
ので、そのチャンスを拒むという決断をしたのかもしれません。
しかし、学校としては、いじめの早期発見のために最低限のアンテナは張っていた訳ですから、学校側の力不足を理由にして、責任を問われても困ります。厳しい言い方をすれば、いじめを発見できなかったのは学校側だけでなく、家庭においてもそうであった訳ですから、一方的に学校側だけの責任として押しつけるのはおかしなことです。
2については、一方的に不利な状況に陥れられるいじめ問題であっても、双方の意見を聴き取り、公平な態度で判断を下さないといけません。
少し前に、いじめの加害者であると疑われた生徒が自殺した問題がニュースで報道されていました。それだけ、いじめに関する問題はデリケートで慎重に取り扱わないといけないと言うことです。
今回のケースにおいては、いじめの被害者である生徒から事情を聴き取ることが出来ないので、双方の言い分から公平に判断することが出来ません。
いじめの加害者である生徒たちの立場を考えると、まさかこの程度のことで生徒が自殺してしまうなんて思ってもみなかったことですし、まさかこの程度のことで自分たちの社会的立場が窮地に落とされることなど想像もしていなかったので、慌てて自己弁護に走ることは容易に想像出来ます。
この場において、自分自身の罪を誠実に認められる生徒であれば、特定の生徒を死に追いやるような行為は取らないのではないでしょうか。
従って、加害生徒の言い分だけを聴いていじめは無かったと判断するのは早計です。しかし、これ以上の真相究明は不可能です。
ここまでの状況を整理しておくと、次のようになります。
それでは、この後に学校側は、どのような行動をとれば良いのでしょうか?
最優先すべきは、自殺した生徒の遺族に対して誠意を尽くすことです。
記事には、
とありますが、私は果たしてそうなのだろうかと疑ってしまいます。
自分の息子がいじめ行為によって人命を奪った加害者にされようとしている一大事にあって、その保護者は夜の数時間程度の時間を確保出来ないのか??
学校側は、「加害生徒の人権擁護のため」、もしくは「これ以上問題を大きくするのを避けたかったため」などの理由で、遺族と関係生徒および保護者との対面に消極的だったのだと思います。
もしも、本当に関係生徒の保護者と折り合いがつかなかったのであれば、その保護者の意識の甘さによる家庭での指導不足が遠因となって、今回の件に至ったとも考えられます。
それならば、学校としては、遺族の要望に誠実に応えて、積極的に関係生徒との直接の対面の場を早急にセッティングするべきです。
とりあえず、この件については、21日に三重県教委から結果公表があるみたいなので、事の進展を見守っていきたいと思います。