目次
はじめに
ここでは、東京書籍 改訂 科学と人間生活をベースに講義を進めていきます。
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第1章 材料とその再利用 ②プラスチック プラスチックの構造 教科書P72-73
今回は教科書P72~73の範囲を学習します。予め教科書の内容に目を通しておくと、効率よく学習が進められます。
☝本時の目標
1.代表的な原子や分子の結合状態を理解しよう。
2.原料となる分子(モノマー)から高分子化合物(ポリマー)になる仕組みを理解しよう。
3.付加重合と縮合重合の違いを理解しよう。
2.原料となる分子(モノマー)から高分子化合物(ポリマー)になる仕組みを理解しよう。
3.付加重合と縮合重合の違いを理解しよう。
1.代表的な原子や分子の結合【復習】
長兄:ラオウ
それでは、今日の授業に入っていこう。今回は、教科書72、73ページのプラスチックの構造について見ていこう。
三男:ジャギ
プラスチックの構造…??
あぁ‥。プラスチックを作っている微粒子、つまり原子がどのように結びつくことによって、プラスチックができるのかを見ていこうという訳だ。
なんだか難しそうだぜ!
うむ。今までに比べると、やや高度な内容になってくる。しかし、ここは中学校までの内容を確認しながら進めていくから案ずることはない。
わかったぜ兄者! じゃあ先に進めてくれ。
それでは化学結合についておさらいをしておこう。物質同士の結びつき方、つまり原子の結合は原子によって様々だ。例えば、炭素原子だと一般的に4カ所で物質と結びつき、水素原子だと1カ所、酸素原子は2カ所で結びついている。
結び付くってのは、水だとH2Oってやつのことかい?
あぁそうだ。水H2Oだと、H2というのは水素原子が2個があるということで、酸素原子から結合の手が2本出てきて、水素原子から出てくる1本の手と握手するようなイメージで結合してるわけだ。
それから炭素原子は、4か所で結び付くから、水素原子と結びつくことでCH4という物質になる。ちなみにCH4の名前はメタンだ。メタンは都市ガスの主成分で、燃える気体なのだ。
ふむふむ。えぇっと~…、水とメタンはわかったけど、一番右のエチレンってのはどうなってるんだ。炭素原子は、隣のH、C、Hの3カ所しか結び付いてないように見えるけど。
いいところに目を付けたなぁ。その通り、炭素原子は、隣のH、C、Hの3カ所しか結び付いてないが、炭素原子同士の結合を見てくれたまえ。
CとCの間に2本線が書かれてる。
ここでは、炭素原子同士が両手で握手するように結合しているのだ。
がっちりと結びついているんだね。
あぁそうだ。2本の手で結び付いているから結合力が強かったりするんだ。この2重線で表現された結合のことを2重結合という。ちなみに、1本線で表現された結合は単結合という。
単純な結合ってわけか。
そう思ってもらえばよい。後、これは危険物試験を受ける人の参考までにだが、6つの炭素原子が輪っかのようにつながって、その外側に6つの水素原子が結合しているのがベンゼンだ。
2.モノマーとポリマー、付加重合と縮合重合
復習はこれで終わったから、今からプラスチックの構造を確認していこう。
ここからが本番だなぁ。
まずはポリエチレンからだ。
ポリ…エチレン…。
ポリエチレンは、文字通りエチレンから出来たプラスチックな訳だが、プラスチックは、小さな分子がたくさん結合してできた巨大な分子だって話したのを覚えているか。
高分子化合物って言うだったなぁ。
あぁそうだ。それでポリエチレンだと、小さな分子に相当するのがエチレンで、このエチレンが大量に結合したものがポリエチレンということになる。
ほぉ~・・・。
さっきエチレンには二重結合が存在する話をしなぁ。実は、ポリエチレンの結合はエチレンの二重結合が関わっている。
へぇ~。
ポリエチレンが出来るまでの流れだが、まずエチレンの二重結合が切れる。エチレンの二重結合が切れた時に、炭素原子に存在する余った手が外側に広がる。そして、同じようにして外側に手を広げているエチレンと新たな結合を形成するんだ。
ほぉ~。
こうしてエチレンが次々と結合して巨大な高分子化合物となったものがポリエチレンだ。
エチレンがたくさん!
ちなみにポリエチレンのように、二重結合が開いて次々と結合していくことを付加重合というのだ。少しここで整理をしておこう。
ここで言葉の説明をしておきたいのだが、高分子化合物を構成している分子のことをモノマーといい、モノマーがたくさん結合した高分子化合物のことをポリマーという。ポリエチレンで言うと、原料となるエチレンがモノマー、ポリエチレンがポリマーに分類される。ポリエチレンの「ポリ」というのは、「ポリマー」からきているわけだ。
へぇ~、高分子化合物って見た目は複雑で難しそうだけど、仕組みそのものはシンプルなんだね。
まぁそうだな。それでは次に行ってみようか。今度は縮合重合だ!
縮合重合…?? 水がとれながら結合するってどういうことだよ!?
では具体的にみていこう。縮合重合で代表的なのが、エチレングリコールとテレフタル酸からポリエチレンテレフタラートが出来る反応だ。
また、難しいそうな名前が出てきたなぁ…
まぁそう恐れる必要はない。ポリエチレンテレフタラートは、略してPETと表記するが、この「PET」という文字をどっかで見たことないか??
あっ、ペットボトル!!
そうだ、ポリエチレンテレフタラートはペットボトルの原料になるのだ。そうやって見ていくと、これからの説明についても少しは親近感を覚えてくれるのではないかね。
そうだね。頑張ってみるよ!
それでは、まずポリエチレンテレフタラートの原料となるエチレングリコールとテレフタル酸の構造だが、この2つの物質の外側には、OH(酸素と水素)が結合している。
あっほんとだ! 右端と左端にOとHがくっついてる。
この2つの物質は高温・真空状態にしてやると化学反応が起きて、水がとれる反応が進行する。
この時に、Hが2つOが1つ、つまり水1つ分がとれると同時に、残った酸素がエチレングリコールとテレフタル酸を結びつける。
酸素は結合の手が2本だったね。
あぁ、それで後は、この反応を繰り返すことで巨大な高分子化合物のポリエチレンテレフタラートが完成する。
これがペットボトルかぁ… 忘れないうちにもう一回整理しとかなくっちゃ。
問題演習(解答・解説)
※順番に(a. ポリマー )(b. 二重結合 )(c. 付加重合 )(d. 水分子 )(e. 縮合重合 )となります。
①:熱軟化性樹脂ではなく、正しくは熱可塑性樹脂です。
③:主に炭化水素(炭素、水素)です。
④:プラスチックは、腐食性に強く、酸やアルカリと反応してもろくなることはありません。
上記より検討すると、答えは②となります。
※機能性樹脂として、発熱するプラスチックを用いたカイロは実用化されていないので、①~④の中で不適切なのは③です。
■参考動画
尿素樹脂を合成しよう。
お疲れ様でした。
今回の学習は、ここまでです。
◎異なる単元の学習は、こちらのガイドを活用ください。