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指導者による暴力問題が波紋を呼んでいます。

今回の暴力行為は絶対に認められるものではなく、問題の指導者については然るべき処分を受けるべきだと思います。

しかし、教師目線から読者の皆さんには知ってもらいたいことがあります。

それは、

あれだけの暴力行為に走ってしまうほど、教育現場は極度なストレス状態にあるということ。

 

今回はサッカー部内での暴力行為。

おそらく指導者はサッカー経験者です。

暴力を振るわれても無抵抗であった生徒の姿から想像するに、生徒たちからはそれなりに一目を置かれる存在であったと考えられます。

しかし、中には未経験のスポーツを渋々担当している先生だっています。

そんな先生たちに対して、精神的に未熟な生徒たちは痛烈な暴言を吐き捨てることがあります。

立場としては教師の方が上ではありますが、数の上では常に生徒の方が上回っているわけで、未経験のクラブを指導していると、実技指導が出来ないことに対する負い目を感じてしまうことから、生徒たちに毅然と立ち向かえない状況に陥りやすいことが往々にしてあります。

こうした背景を踏まえた上で、今回の件を振り返ると、生徒たちに対して容易に暴力行為に走れるほど指導者の立場は強かったとも考えられます。

それでも、あのような激しい暴力行為に至ってしまう。

報道による情報だと、生徒たちの幼稚な発言に対して激昂したとのことですが、

どれだけ短期的かつ急激にストレスレベルが上昇したことでしょう。

 

生徒の不適切な行為があったにせよ、暴力による方法でないと生徒を指導できないのは、指導者として未熟というか、素人以下です。プロアマ以前に、暴力行為は犯罪行為です。

指導者の適切な指導について

それでは、この場合どのような対応が適切だったのかというと、次の2つの手順が挙げられます。

①生徒の不適切な発言に対して、急激にこみ上げてきた怒りの感情をまず押さえつける。アンガーマネジメントによって、自身の感情をコントロール下におく。

②感情を落ち着かせている間に、生徒の不適切な行為に対する適切な対処方法(指導方法)を検討する。

 

①まずは自分の感情をコントロールすること。

その場の感情に任せて指導してしまうと、生徒のための指導ではなく自身の感情を発散するための指導になってしまいがちです。今回の暴力行為がまさにその典型です。

従って、まずは自分の感情を理性でコントロールすることに専念します。

②自身の感情を正常にコントロールできることが確認したら、生徒の行動に対してとるべき対応を検討する。

ここで生徒に対してどのようなアプローチが出来るかで指導者としての力量が分かれてくる。

今回の件では、生徒の発した発言が指導者の気に障ってしまったわけですが、この場面で考えられる対応方法は、次のようになります。

1.無視する。

2.今の言葉遣いは適切でないと淡々と冷静に伝える。

3.「今何と言ったか?」問題となる生徒に対して復唱させてみる。

4.感情を載せて一喝する。

 

1.生徒たちとの良好な人間関係が築けてなかったり、言葉で説明しても伝わらない生徒であれば、無視して敢えて指導しないのも1つの手段です。指導者による指導拒否であり、職務怠慢ともとれてしまいますが、暴力を振るうよりはマシです。

教育現場はストレスに満ちていて、常に指導者は高ストレス状態にあります。時として、生徒たちと一言二言会話することすら出来ないほど疲弊しているときだってあります。そういった時は、自分自身の殻の中に籠って生徒たちの不適切な行為をひたすらやり過ごすことが、時として無難な対応になる時があります。

精神的に疲弊している時は、正常な判断が出来ない事がしばしばあります。そのような時は、感情のリミッターが外れてしまいやすく、温厚な先生であっても時として暴力的な行為に向かってしまい兼ねません。そうなってしまうと、今回の件のように、今度はその行為自体が問題となって、自分自身の立場が危うくなってしまいます。

従って、無視をするという選択肢が指導者自身の自衛手段として機能することがあります。

2.精神的に疲弊して、注意する気力すら残っていなければ、無視をするのも1つの手であると述べましたが、生徒たちにきちんと向き合える余力があれば、不適切な発言をした生徒たちに対して、今の発言が不適切であった旨を伝えることが次の手段になります。

ポイントは淡々と冷静に伝えることで、感情を込めないことです。

生徒の不適切な発言に至る動機の中に、指導者を挑発して怒らせようという目的が含まれているときがあります。そのような場合に(怒りの)感情を込めて生徒を指導すると、生徒たちは反省するどころか更に怒らせようと指導者の神経を逆なでするような態度をとってきます。

今回の場合だと、指導者の問題行動を遠くで見ていた生徒が撮影しているわけで、問題発言をした生徒の周囲には何人かの生徒がいたことになります。生徒集団に対して、指導者が1人で立ち向かおうとした場合、生徒たちは数の優位性を利用します。

生徒の不適切な行為に対して感情的に指導すると、「全然怖くないよ!」という態度をとってみたり、「はいはい!」と面倒くさそうに、指導者の気持ちを込めた行為を誠実に受け止めようとしてくれません。

生徒を指導する側としては、きちんと反省している態度を示してもらいたいところが、そうして軽く流そうとする態度をとられると、ますます腹が立ってきます。それに加えて、ギャラリーとして、指導者と問題生徒のやりとりを眺めている生徒たちが図に乗ってゲラゲラ笑って、その場を茶化してみたりして指導者の怒りの火に油を注ごうとしてきます。

ここまで怒りのボルテージを上げられてしまっては、指導者としては引くにいけない状態に陥ってしまい、挙句の果てには暴力行為に訴えるしか手段が無くなってしまったり、ここまでに高ぶった感情を強引に押さえつけようとすると、ものすごく大きなストレスが残ります。

従って、生徒の状況をみて、冷静に淡々と感情を込めずに不適切な行為である旨を伝えて、その場から遠ざかります。

もしかしたら周囲でゲラゲラ笑ってその場の空気に水を差そうとする幼稚な生徒がいるかもしれませんが、それは無視します。感情的になってしまうと、生徒たちは面白がってますます行動をエスカレートさせてきますが、無視してやることで、生徒たちにとってはこれ以上面白い展開が望めなくなるので、このような幼稚な行為そのものが自然と無くなっていきます。

生徒を指導する時は、大体この辺りを基本に据えておけば十分だと私は考えています。

私もどちらかというと、生徒を指導する時はこのパターンで臨みます。

3.良くも悪くも生徒との人間関係が十分に築かれているのであれば、もう少し突っ込んだ指導が可能になってきます。

1,2での説明は、生徒との人間関係が上手く築けていない場合の対応になります。人間関係が築けていないというと語弊があるように思いますが、高校現場における教師と生徒の関係であれば、ほとんどが十分な関係性は築けていないものと考えてください。

小学校のように授業の大半が同じ先生であるのとは異なり、高校では、基本的に生徒と顔を合わせて授業するのは週に2,3回程度です。そのような関係性の中では、生徒との十分な信頼関係を構築するのは困難です。

その一方で、今回の暴力行為はサッカー部の指導者とその生徒によるものです。クラブ活動はほぼ毎日数時間に渡って行われており、指導者と生徒とのコミュニケーションの機会が十分に確保されているので、上下関係といったお互いの立ち位置はきちんと理解されているものと考えられます。

そのような関係性であれば、もっと踏み込んだ指導が可能になってきます。

その中でも3は穏便に済ませる方法で、生徒の不適切な発言が聞えた時に、生徒に対して

今何て言った??

 

と聞き直します。

そうすると気まずくなった生徒は、その場の空気を読んで

何も言ってません!?

 

とか、適当に笑ってごまかそうとするでしょう。生徒がこのような反応をしたということは、「生徒自身が不適切な発言をした!」ということを理解していることになります。

従って、このような反応が引き出せたのであれば、後は

そうだよね!そんな言葉遣いをするわけないよね!

 

と念を押す言葉を投げかけて生徒の自省を促せば、それで指導としては十分ですし、お互い笑顔で円満に事の収束にこぎ着けることが出来るでしょう。

4はダメなものはダメとしっかりと伝えたいときの手段になります。

3は、言ってみれば不適切な行動を指導するために、「生徒をいじってやる」訳ですが、このような場合は、

おい!目上の者に何て言う言い方をするんだ!

 

2度とそんな態度をとるな!

 

と短い言葉で端的にしっかりと怒りの感情を込めて叱責します。

「叱る」というのがこの指導にあたります。

長々とお伝えしましたが、生徒の不適切な言動を指導する上で大切なのが、まずは自分自身の感情をコントロールできる状態にする。それから、その場に適切な指導方法を吟味し指導にあたることですが、

生徒の未熟な発言を受けて、自然と沸き起こる怒りの感情をコントロールすると、とても精神力を消費します。

生徒の不適切な言動に対して、暴力的に矯正するのではなく、生徒の未熟さを受け止めて、適切な方向に導いてやることがプロの指導者の仕事になるわけですが、この記事を通して読者の皆様においては、学校の先生を始めとする指導者の苦労を少しだけでも理解して頂ければ幸いです。

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