【1vs40の理科実験】コーンフレークの磁性
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はじめに

「混合物は2種類以上の物質が混ざったもの。」

「化合物は2種類以上の元素からなるもの。」

と説明されますが、「元素からなるもの」も物質には違いなく、「2つの物質からなる」ものとして「化合物」を捉えてしまうと「混合物」との違いがわからなくなってしまいます。このような誤解から、物質の分類でつまずいてしまう生徒が一定数いるのではないかと推測しました。そこで、磁石に引き寄せられるコーンフレーク引き寄せられないコーンフレークの原材料に着目することで、混合物と化合物の違いを定性的に理解する機会を設けることにしました。

混合物として含まれる「単体の鉄」は、磁石に引きつけられ、「化合物に含まれる鉄」は、磁石に引きつけられません。

このことを観察することで、混合物と化合物の違いを経験的に理解していきます。

コーンフレークの磁性

準備物()内は10セットの必要数

・オールブラン、フルグラ ・水切りネット ・器具ケース1個(10個) ・ピンセット1本(10本) ・ネオジム磁石 大1個(計10個) 中2個(計20個) 大1個100円(税抜) 中4個100円(税抜) ・シャーレ1枚(10枚) ・ペットボトル2本(計20本) ・紙コップ 90mlと150ml (各10個) ・バケツ2つ程
・ワイヤレス HDMI アダプター ・延長コード ・家庭用コンセント/USB電源 変換用コンパクトアダプター ・三脚 ・授業資料 ・授業資料の穴埋め用のスライド(電子媒体)

シャーレはケニスより購入。
ペットボトルは教室のゴミ箱から拝借します。

※1:原材料に「鉄」を含むものと「クエン酸鉄Na」もしくはそれ以外の鉄の化合物を含むものであれば、オールブランやフルグラ以外のシリアル食品で代用可能です。
※2:水切りネット、器具ケース、ピンセット、ネオジム磁石は100均でそろいます。
※3:紙コップ、延長コード、三脚、家庭用コンセント/USB電源 変換用コンパクトアダプターはホームセンターで適当なものを選びます。
※4:三脚は、実験手順の説明するときにカメラを固定するためのもので、今回の実験ではあると便利ですが、なくても構いません。
※5:ワイヤレスHDMIアダプターはこちらの商品を利用しています。


授業資料と穴埋め用のスライドは、次のような感じです。

■授業資料

■スライド

上記の物品を事前準備までに揃えておきます。

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事前準備

ケースの中に、ペットボトル2本、シャーレ1枚、ピンセット1本、ネオジム磁石を大1小2の計3個を入れます。


ネオジム磁石は、すぐにピンセットにくっついたりするので、シャーレの中に入れておくと管理しやすいです。

排水溝に水切りネットを取り付けておきます。

廃液処理の時に固形物を排水溝に流さないようにするためのものです。

ここまでは、前日までに準備してOK
準備物さえ揃っていれば、事前準備は1時間弱で終了します。

実験授業の当日もしくは直前にオールブランとフルグラを大小それぞれの紙コップに区別して入れます。

前日までにこれをやってしまうと、鉄が酸化してしまうかもわかりません。なので、オールブランとフルグラの準備は当日に行い出来るだけ空気との接触をさけます。生徒はオールブランとフルグラの区別がつかないので、紙コップの大きさを変えておくことで、大きいコップに入ってる方、小さいコップに入っている方と、大小で区別できるようにしておきます。そうすると、授業時の指示伝達が容易になります。

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授業展開

プリント配布および語句の記入と本時の説明

本校だと入学直後の生徒たちは落ち着いていて、話が聴ける状態にありますが、次第に落ち着きがなくなってきます。話が聴けない生徒も1つのことに集中すると比較的静かになりやすいので、語句の記入をしている内に、聴ける姿勢にある生徒たちに向かって、本時の概要説明を行うこともあります。(各グループ1名だけ手順がわかっていればOKという感覚で伝達します。)この辺りは学校の実態に合わせて、進めてください。(生徒に記入させる時間と説明を聞いてもらう時間を分けるのが理想です。)

生徒たちがざわつき始めたな?

という時期に、お説教をするのも一つの手段ですが、それで授業の雰囲気を下げたくないので、何とか授業が成立するうちは、私は淡々と授業を進めます。ここは、授業を行う先生の個性によって変わってくるところです。これで授業資料(左半分)の説明が終了し、ここから実際の実験に移ります。

実験1

シャーレに水を入れます。(大体半分くらいの高さまで水を入れます。入れすぎると水をこぼす原因になるので、入れすぎには注意です。こぼれたとしても雑巾で拭けば良いだけなので、それほど神経質になる必要はありません。)

水を入れたシャーレに、オールブランを入れます。水に浮いた状態だったり、壁面にくっついた状態だと、水の表面張力の影響によって、磁石の力では動かなくなります。そこで、ピンセットを使って、オールブランを軽く水の中につけて、シャーレの中央で動かないようにしておきます。

オールブランの側面付近に磁石を近づけます。そうすると、磁石の引力にひかれて、オールブランが水面を移動する様子が観察できます。

次にフルグラをシャーレに入れてみて、同じように磁石を近づけます。フルグラの場合だと、ほぼ反応しないことが確認できます。

※注意
磁石が水面に触れることで、波立つ水面にフルグラが動かされることがあり、これが磁石の力であると勘違いしてしまうことがありますので、そこは注意してください。

実験1が一通り完了したら、観察記録にオールブランとフルグラの反応を記録します。

実験2

2本のペットボトルに容器の3分の1程度、水を入れ、それぞれのペットボトルにオールブランとフルグラを入れます。(こちらの順番は逆でも構いません)

それからペットボトルを1分程度激しく上下に振ります。

1分間振ったら、ペットボトル容器の側面に磁石を近づけます。フルグラは無反応で、オールブランは、細かな粒が引き寄せられる様子は観察できるものの、「鉄」の存在をこの段階では確認できません。

そこからさらに1~2分間ペットボトルを振り続けます。

その後、再び磁石を近づけると、オールブランの入ったペットボトルから、黒い微粒子の存在が確認できます。

フルグラの入ったペットボトルに磁石を近づけても、黒い微粒子は確認できません。

実験2が一通りの完了したら、観察記録に結果を記録します。これで実験は終了します。最後に後片付けです。

後片付け

シャーレとペットボトルに入った廃液は、水切りネットを利用して、固形分を取り除きます。

写真のような穴あきのコップにネットを通して、そこに廃液を流しこみます。

ネットに溜まった固形物は、生ごみとして処分します。ここでは、プラスチックコップの底を半田ごてで溶かして穴をあけたものを使用しています

(これは紙コップの底をハサミで切り抜くなど、別のものを代用してもらって構いません。)液体は、最後に流します。

同じ実験を別のクラスで行う場合は、シャーレとペットボトルは、洗浄してケースの中に戻します。そのほかの器具もすべてケースにまとめたら、ケースを回収して教卓に並べておきます。

余ったフルグラとオールブランは袋に戻します。紙コップは再利用するので、1箇所にまとめておきます。

 

これで、次回の実験は、紙コップにオールブランとフルグラを入れるところからスタートできます。

今回の実験授業は、後片付けも含めて30分程度で終了します。50分授業で行うと時間が余ってしまうので、短縮授業の時やテスト返却後の微妙な時間に差し込むとうまくはまる内容です。可能であれば、40人規模のクラスであれば20セット(2人で1つ)準備したいところですが、一人で行うとなると10セットが妥協点になります。

実際に確認できる現象は、次の動画を参考にしてください。

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