はじめに
今回から具体的な波である音について取り扱っていきたいと思います。
これまでの波の問題というのは、
波全体としてどう捉えていけば良いか?
波って一体何なんだろう…?
どうやって表せばいいんだろう?
そういうことをやってきました。
そして、一通りそういうことが終わった訳です。
そこで、今回から皆さんが生活の中で知ってる波として、音について物理的に見ていきます。
音(音波)とは
音は、物体の振動が空気などを媒質として伝わる現象です。
太鼓をたたくと、太鼓の膜が振動し、その振動によって周りの空気が圧縮と膨張を繰り返します。
そのため、空気中には圧力の高い部分と低い部分が生じます。
このような空気の振動が縦波となって伝わります。
こうして生じた縦波が、音(音波)です。
私たち人間は、声帯を振動させて声を出します。
声帯で作られた声が空気を振動させ、縦波として伝わります。
その音が耳に達すると鼓膜が振動し、私たちはこれを音として感じます。
音の反射について
山の頂上で大きな声を出すと、少し遅れて同じ声が聞こえることがあります。
「やまびこ」として知られるこの現象は、音波が障害物に反射して元の場所に戻ってくるために起きる現象です。
コウモリやイルカなどは、特殊な音を発して、その反射音を聞き取ることで、獲物や障害物までの距離や方向を察知しています。
この原理は魚群探知にも利用されています。
音波を水中に発信し、その音波が魚に当たって反射されることで魚の位置を特定します。
漁師の人たちは、これにより魚群の大きさや密度、深さなどをリアルタイムで把握することができます。
音の高さ、大きさ、音色について
音の波形をオシロスコープとマイクで観察すると、
大きく3つの特徴が観察できます。
https://hr-inoue.net/zscience/topics/sound/sound.html より
一般的に、身の回りのほとんどの音は、単純な正弦波ではなく、複雑な波形をしています。
https:www.widex.comja-jplocalja-jphearingvarious_sound より
このような波形の違いが音色の違いとして認識されます。
そして、音の波形を単調な正弦波に近づけていくと、音の大きさと高さについて次のような特徴が確認できます。
まずは音の大きさですが、同じ振動数の音が聞こえているとき振幅が大きくなるほど音は大きくなります。
そして、音の高さです。
低音の波形を確認すると、高音の波形に比べて、山と山の間隔が広くなっていることが確認できます。(つまり、低音は高温に比べて振動数が小さい。)
したがって、音の大きさは、振幅によって決まり、高さは、振動数によって決まります。
音の速さについて
冒頭で説明した通り、音は空気を媒質として伝わる波です。
そのため、空気中を伝わる音の速さは、空気の状態によって変化します。
例えば、1気圧、t[℃]の空気中の音の速さVは、
331.5 + 0.6t と表されます。
このように、音の伝わる速さは空気の温度によって、変化します。
他にも、音の速さは液体や固体の中を伝わる時にも変化し、空気中を伝わる場合に比べて、水中を伝わる場合は約5倍、鉄の中を伝わる場合は、約18倍早く伝わります。
音は空気中を伝わる波なので、空気が存在しない真空中では音を伝える媒質が存在しないため、音は伝わりません。
うなりについて
前回までの授業で、定在波とは、波長とか振幅が等しい2つの波が、お互いに逆向きに同じ速さで進み重なり合った時に定在波と呼ばれる合成波が生じることを学習しましたが、
振動数がわずかに異なる2つの音を同時に鳴らすと少し変わった現象を感知することができます。
このように、振動数がわずかに異なるおんさを同時に鳴らすとウォーン、ウォーンと音の大小が周期的にくり返されて聞こえます。
このような現象をうなりと言います。
たとえば、2つのおんさがあったとします。
おんさAの振動数が400Hzで、おんさBの振動数が403Hzであれば、毎秒3回のうなりが観測されます。
解説は以上となります。
今回は、具体的な波として、空気を伝わる音に注目して見ていきました。
次回も引き続き音について学習していきますが、今度は、弦や気柱、例えばギターやフルートなどに代表される発音体から生じる振動に焦点を当てて見ていきます。