はじめに
それでは次に、反射波の合成に移っていきます。
定在波は、2つの波が重なりあった時にできる合成波ですが、1つの波が反射することによっても形成される場合があります。
自由端反射と固定端反射
波の反射の仕方には、大きく2種類あります。
1つは自由端における反射であり、もう1つは固定端における反射です。
自由端における反射は、反射する波の端の媒質が自由に振動できることを指します。
自由端で入射した山が自由端に到達すると、そのまま山として反射されます。
■山で入射
■山として反射
一方、固定端における反射は、反射する波の端の媒質が自由にできないように固定されていることを指します。
固定端で入射した山が跳ね返ると、位相は逆転して、そのまま谷として反射されます。
■山で入射
■谷で反射
※「位相がπずれる」という言い方をします。理系物理を学習する人は知っておくといいでしょう。
パルス波の反射
実際にパルス波が自由端と固定端のそれぞれで跳ね返る時の合成波について考えてみます。
x軸上を正の向きに速さ1秒間に1マス1目盛りずつ進むパルス波の、1秒毎の波形を確認していきます。
自由端反射
まずは、点Pが自由端の場合です。
x軸上を進むパルス波は1秒後には1マス分移動します。
この時、Pの手前にある波を入射波といいます。
Pを越えた部分は、実際にはPで跳ね返る部分です。
この部分を仮想入射波と言います。
この仮想入射波を自由端を軸にして、折り返します。
これが反射波となります。
そして、入射波と反射波が重なっている部分は合成波になっているので、重ね合わせの原理にしたがって、代表的な点の変位を考えてみます。
すると、こちらの左側の点では、2+0で2、
右側の点では、1+1で2となります。
したがって、この2点を結んだ部分が合成波の波形となります。
同じように、2秒後、3秒後、4秒後の波形を確認すると、図のようになります。
固定端反射
次に点Pが、固定端の場合です。
x軸上を進むパルス波は1秒後には1マス分移動します。
Pを仮想入射波を固定端を軸にして、折り返します。
ここまでは、自由端の反射と同じですが、固定端の反射では、折り返した波を上下反転させます。
これが反射波となります。
そして、入射波と反射波が重なっている部分では、合成波になっているので、重ね合わせの原理にしたがって、代表的な点の変位を考えてみます。
すると、こちらの左側の点では、1ー0で0で、
右側の点では、1ー1で0となります。
したがって、この2点を結んだ部分が合成波の波形となります。
同じように、2秒後、3秒後、4秒後の波形を確認すると、図のようになります。
定在波の形成
入射波が連続的な正弦波の場合は反射波も正弦波となるため、入射波と反射波が重なると定在波ができます。
波の折り返し方はパルス波の時と同様で、自由端反射では仮想入射波を端を軸にして折り返します。
これが反射波となります。
固定端反射では、さらに上下を反転させます。
こうしてできた反射波は、入射波と同じ速さで進み、波長と振幅が同じ正弦波なので、2つの波が重なると定在波を形成します。
自由端反射の場合は、端の位置が定在波の腹となり、固定端反射の場合は、端の位置が定在波の節となります。
これで解説は以上となります。
次回からは、音の特性について解説していきますが、この音の分野では今回学習した内容がとても大切になってきます。
しっかりと理解して、音に関する知識を広げていきましょう。