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はじめに

コンデンサーの基本式

では、コンデンサーについて議論していきます。

極板間の電場について

私たちはもう、

平面にどんな電荷があるのか!?

ということ、そして

どうやら平面であっても式は作れそうだ!

ということが分かってきました。
ですから、ここに金属版があって、プラスQクーロンの電荷が蓄えられているとします。

では、その時にこの周りにどんな電気力線ができるのか?

ということを考えます。

まずは、この周りにプラス1クーロンの電荷をばらまけばいいわけです。

上と下の区別はないですよね。重力とかは考えないことにします。

ガウスの法則より、

プラスQクーロンからは4πkQ本しか出てかない…

2πkQ本ずつ…、2本の矢印で表現してみます。

すると、こうなるでしょうねぇ…

今、1枚の金属板にプラスQクーロンがあるということを考えてます。

実際は、両端の電気力線は外側に広がっていきますが、

平行板コンデンサーでは、全体の性能に大きな影響を与えないものとして、ここでは外側の曲がった部分は考えないものとしています。

点線を2本横に引いてありますが、今度は、この下の方の点線に同じ鉄板の大きさでマイナスQクーロンの電荷を置いてみます。

そうすると、この場合の電気力線はどうなるか?

これもプラス1クーロンをばらまけばいいので、プラス1クーロンの電荷をばらまくとこうなります。

それでは、この2枚の鉄板を,上下に同じところに置いたら、どうなるんですかねぇ…??

やってみましょう。

この電気力線、ずっと真っすぐ伸びているので、先まで書いても構わない訳です。

もちろん2πkQ本です。

ここも2πkQ本になります。

それでは行きます。この2枚の鉄板を上下重ねたんです。そうすると、どういうことが起きるかです。

よ~く考えてください。
これは電気力線ですけど、元々これは力です。

プラス1クーロンに働く力のことです。下向き2本。上向き2本。これが一緒になると…

相殺しますねぇ。
力はベクトルですから。

 

同じように上向き2本下向き2本、相殺します。

下向き2本下向き2本…
真ん中は…こうです。

 

そして上にはない。
下にもない!

こういう状態なんです。そして本数は、全体で4πkQ本っていう…

こういう状態がコンデンサーなんですねぇ…

コンデンサーっていうのは、外部に電気力線ができないんですね。

それで内部に4πkQ…。

ガウスの法則を破ってないですねぇ…

プラスQクーロンから出た4πkQ本ですね。こうなるんです。

それがどうした??

ということなんですが…

電気力線の本数は1㎡あたりの電場なんです。

じゃあ、この極板面積Sで割って1㎡あたりに換算してあげれば電場が分かります。

コンデンサーの基本式の導出

それでは、次にコンデンサーらしく2つ同じものを並べてみます。
電気力線は4πkQ本、極板の面積はSとしましょう。
(右側に書いてあるコンデンサーの方は、今はちょっとほっといてください。)

ここでガウスの法則を考えます。

そうすると、総本数4πkQ本です。1㎡あたりの本数が電場に等しいわけですから、コンデンサーの極板間にできている電場というのは単位面積当たりの電気力線総数に等しいということになります。

ここまでは、大丈夫だね。

一方、この考えから、この中にはこれだけの電場が出来上がった。

この極板間距離をdと置きます。そして両端の電位差をVと置いてみます。

この時、極板の中にプラス1Cの電荷を持ってくると下向きにEという力を受けますが、そのEという力に逆らってdだけ持ち上げたとします。

それは、1クーロンあたりの位置エネルギーになります。

 

1クーロンあたりの位置エネルギーって電位に等しいですねぇ。

だから、V=Edが成り立つわけです。

したがって、Eはd分のV。これが成り立ちます。
ガウスの法則によって成り立ったE、クーロンの法則によって定義されていったEとV、この2つは同じものでなくてはいけません。

そうするとどんな式が出来上がるか…??

こんな式になります。

この式からQ=って変形すると…

こうなりますね。

もう気づいてきましたか…??

4πk分の1は、定数ですねぇ…

これを毎回書くのは面倒くさいので、真空の場合は真空誘電率イプシロンゼロって置くんです。

以上より、次のような式が出来上がります。

これがコンデンサの基本式と、呼ばれる式です。

コンデンサーの問題で点差がつく原因

それでは、続けて説明していきます。

まず1つ。心当たりの人は、ちゃんと聞いてください。

コンデンサー、

これ覚えてるだけの人が、いっぱいいるんです。

なぜこんな式が成り立つの??

って聞いた時に、

だって、それはもともと点電荷しかなかったところに、平面電荷を持ってきてガウスの法則をうまく利用したんですよ。

こういう風に言って欲しいわけです。

そうすると、

あぁ、そうだね。じゃあ、こういう風にしておけばいいよね。

っていうような話ができる。

ところが、どうしてQ=CV、C=…が成り立つの??

って言った時に先生、

それは成り立つに決まってるじゃないですか!?

そんなの。公式ですよ!

って言われると、

どうやって説明しようか…??

生徒からコンデンサーの問題を分からないって質問があったのに、その時に、それで済まされると、どうしようもありません。

冷静に考えてみて下さい。

コンデンサーの問題って、ものすごく点差がつくんです。

どこの大学でもいいですが、例えば大学入試で東大受けます。物理選択したっていう人で、Q=CVを知らないで試験場行く人はまずいないです。

じゃあ、コンデンサーの問題が出たとき、全員が同じ点数になりますか?

って言うと、ならないでしょう。

みんなQ=CV、覚えてるんですよ。

でも同じ点数にならないです。

ところがそれを受験生は、頭の良し悪しだって言うんです。

そんな訳ない。

この程度のことしかやってないんですよ。

こんなので頭の良し悪しなんて絶対に分かりません。

 

教科書も何も見てないけど、自力で計算してみたら、こんな式を思いついた!

という人、

 

そんな人は頭がいいでしょねぇ。

でも、ほとんどの人が、そうじゃないですよね。

だからガウスとかファラデーには、なかなかなれない訳ですが所詮は入試問題です。
こんなことで差なんかつきはしない。

ただ、なぜ差がつくのか!?

 

Q=CVを覚えたのか、なぜQ=CVとなってCがイプシロンゼロd分のSと書けるかを知ってるか。その違いです。

それを覚えただけだと、記号の羅列と何も変わりませんから。

 

なぜこんなことを長々と言うのかと言うと…、

 

是非、こちらを見てほしいんです。
今青色で囲ったこの式、とっても大事な式なんです。

ところが、この式の中に電場が顔を見せてないんです。

電場って、すごく大切なんです。

例えば、電気抵抗だとV=IR。オームの法則っていうのは、教わったことあると思うんですが、あれで一番重要なのは電流I なんです。

電流I が最も大事で、式はV=IR 。

だから抵抗っていうのは、しゃれじゃないけど抵抗なく解けるんです。

結構楽に解けるんです。ところがコンデンサは、基本式がQ=CVです。

しかし大切な物理量は、極板間にできた電場なんです。

 

そういう理由で

抵抗に比べるとコンデンサーの方が嫌い!

という受験生が増えてくるんです。

それで、スイッチをカチャカチャカチャカチャ切り替えられると

もうどうなってるか、さっぱりわかんない!

ってなるんです。

でも電気力線引っ張ってみると、すぐ分かる。

 

そこができないんです。

そして何か公式なかったけ!?

って言うんですよ。

そんな公式はありません。
これしかない。

 

だからコンデンサの問題を解く時に、電場というものを頭から切り離したら駄目なんです。そうでないと、何をやってるかわからなくなってしまいます。

要は、公式の中に何か入れて、なんかごちゃごちゃごちゃごちゃ、ただやってるだけ!

っていう感じになってしまう。

そうなってしまっては物理は面白くもないし、その物理を勉強することに意味がありません。時間がもったいないです。

大切なのは電場である。

だからガウスの法則という、点電荷から平面電荷に拡張するための法則をすっ飛ばしてしまうのは、どうしようもないことだから、

これを覚えて終わらせないということは、大変重要になってくるんです。

さぁ、こうやってコンデンサーというものが大体見えてきました。

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