教員免許更新制度の矛盾を挙げてみた。
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昨日、こんな記事を目にしました。

何やら、教員免許更新制を導入したことが仇になっているような記事を目にしたので、改めて教員免許更新制の導入意義について確認してみることにしました。

教員免許更新については、文部科学省のHPに掲載されています。

恥ずかしながら、初めて文部科学省のHPに目を通しましたが、何というか矛盾だらけ。これが国の教育をとりまとめる組織のトップが考えることなのかと、危機感すら覚えてしまいました。

今回は、3.教員免許更新制の導入-恒常的に変化する教員として必要な資質能力の確実な保証-(1)導入の基本的な考え方 の文面から順番に、

個人的におかしいと思うところを具体的に指摘していきます。

1つ目:教員として必要な資質能力は、本来的に時代の進展に応じて更新が図られるべき性格を有しており、教員免許制度を恒常的に変化する教員として必要な資質能力を担保する制度として、再構築することが必要である。
⇒恒常的に変化する教員として必要な資質能力を担保する制度は、教育公務員特例法によって保証されている。

以下、教育公務員特例法 抜粋

第二十一条 教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。
第二十二条 教育公務員には、研修を受ける機会が与えられなければならない。
第二十四条 公立の小学校等の教諭等の任命権者は、当該教諭等に対して、その在職期間(公立学校以外の小学校等の教諭等としての在職期間を含む。)が十年(特別の事情がある場合には、十年を標準として任命 権者が定める年数)に達した後相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質の向上を図るために必要な事項に関する研修(以下「十年経験者研修」という。)を実施しなければならない。

ちなみに都道府県によっては、別途5年研修、15年研修、20年研修と一定の経験年数が経過すると研修が実施されています。

三重県では、「初任者研修」「教職経験者研修(教職2~3年次・教職6年次・教職経. 験 11 年次)」が経験年数に応じて実施されます。

恒常的に変化する教員として必要な資質能力を担保する制度は,上記の研修内容を拡充および刷新することで対応すれば良かったのではないでしょうか。

2つ目:教員免許状に一定の有効期限を付し、その時々で求められる教員として必要な資質能力が確実に保持されるよう、必要な刷新(リニューアル)を行うことが必要であり、このため、教員免許更新制を導入することが必要である。

⇒教員不足のため、免許が失効した退職者を臨時免許で採用している段階で破綻しています。

3つ目:更新制の導入により、我が国全体における公教育の改善・充実が期待でき、公教育に対する保護者や国民の信頼が確立する。

⇒免許制度とは関係ないですが、毎日教職員の不祥事が報道され、公教育に対する保護者や国民の信頼は崩れる一方です。

4つ目:更新制は、いわゆる不適格教員の排除を直接の目的とするものではなく、教員が、社会構造の急激な変化等に対応して、更新後の10年間を保証された状態で、自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ていくという前向きな制度である。

⇒3に関係して、不適格教員を排除しないため、社会構造の急激な変化とも相まって、まともな教員ほど多忙感が募り、社会からの尊敬と信頼の失墜が加速する昨今においては、自信と誇りを、持って教壇に立つことが出来ません。

5つ目:更新制を導入し、専門性の向上や適格性の確保に関わる他の教員政策と一体的に推進することは、教員全体の資質能力の向上に寄与するとともに、教員に対する信頼を確立する上で、大きな意義を有する。

⇒上記1~4を総合して、更新制が導入されてから10年が経過して、教員全体の資質能力が向上したとは言えず、教員に対する信頼は確立されたとは言えないので、免許更新制の意義などありません。

かなり序盤の段階で、教員免許更新制は無駄であるという結論に達してしまいました。

ちなみに日本全国には、小中高の教員数は100万人にも及びます。教員免許更新講習の受講料は3万円程度(自腹)です。

100万人の教職員が10年に一度、3万円を払って講習を受けるとすると、
1年あたり
100万人÷10(1年あたり10万人)×3万円=30億円
ものお金が全国の教職員の財布から引き抜かれることになります。

そしてそのお金は、更新講習を実施する大学へと流れることになります。

(毎年、努力しなくても一定のお金が流れ込んでくるとは、何と楽な仕事なのか・・・。我々も他人の事を言えない立場にありますが・・・。)

これだけの金額を講習担当者への人件費として消費するのであれば、10年経験者研修を充実させる為の費用であったり、課外活動の外部指導者のための人件費として消費した方が、実用的ではないでしょうか??いろいろと想像が膨らみます。

これでいいのか、日本の教育は??

とあれこれ考えたくなることの一つをお届けしました。

教員免許更新制が導入されて早10年が経過し、現場で働くほとんど全ての教員の免許更新が実施され、2回目の更新へと突入する段階に入ってきました。この節目の段階で、文部科学省の偉いさんたちと有識者の方々で、教員免許更新制度は有効に機能しているのか冷静に吟味していただき、継続の可否を判断していただきたいものです。

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