目次
はじめに
ここでは、東京書籍 改訂 科学と人間生活をベースに講義を進めていきます。
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第2章 熱の性質とその利用 ②熱と人間生活 A.熱エネルギーと力学的エネルギー教科書P134-136
今回は教科書P134~136の範囲を学習します。予め教科書の内容に目を通しておくと、効率よく学習が進められます。
☝本時の目標
1.仕事とエネルギーとは何か?言葉で説明出来るようになろう。
2.エネルギーには様々な形態(種類)があることを理解しよう。
3.エネルギーは保存される(増えたり減ったりしない)ことを理解しよう。
2.エネルギーには様々な形態(種類)があることを理解しよう。
3.エネルギーは保存される(増えたり減ったりしない)ことを理解しよう。
1.エネルギーは形を変えて利用されている。
それでは今日の授業を始めていこう。
今回からエネルギーの話だね。
あぁそうだ。これからエネルギーについて見ていくわけだが、本題に入る前に「エネルギーとは何か??」ということを確認しておかなければいけない。
エネルギーっていうと、中学生の時に
「仕事とエネルギー」ってのを勉強したなぁ。
そういえばエネルギーって、どうやって説明したらいいんだろう…??
「仕事とエネルギー」ってのを勉強したなぁ。
そういえばエネルギーって、どうやって説明したらいいんだろう…??
仕事とかエネルギーという言葉は、日常生活でも使用するありふれた言葉だが、それ故に言葉の意味を厳密に捉えて学習することがおろそかになりがちだ。「仕事とエネルギー」については、高校では物理分野になるわけだが、物理を学習する際にはこういった言葉による定義をきちんと押さえることが大切になってくる。
物体にエネルギーを与えるのが仕事…
物体が持ってる能力がエネルギー…
物体が持ってる能力がエネルギー…
言葉の意味だけを追いかけてもイメージしにくいと思うので、
具体例を見ていこう。
具体例を見ていこう。
上の図では、ピッチャーが力一杯ボールを放り投げることで、ボールが飛んでいるわけだが、ここではピッチャーがボールを投げるという仕事を行うことで、ボールが空を飛ぶ能力、つまりエネルギーを手に入れたわけだ。
投げるという仕事によって、ボールが運動能力を手に入れたわけだぁ。
あぁそうだ。
この時のエネルギーのことを、運動にまつわる能力(エネルギー)だから運動エネルギーという。
この時のエネルギーのことを、運動にまつわる能力(エネルギー)だから運動エネルギーという。
ボールを高いところに持ち上げて、手を離すとボールは落ちる。
これはボールに持ち上げるという仕事をした結果、落ちるという能力(エネルギー)を手に入れたと考える。
これはボールに持ち上げるという仕事をした結果、落ちるという能力(エネルギー)を手に入れたと考える。
もしもボールを持ち上げなかったら落ちるってことはないから、当たり前の光景だけど、ボールが落ちるってのも立派な能力になるんだね。
あぁ。そして、この時のエネルギーは、高さや低さ、つまり物体の位置にまつわる能力のことだから、位置エネルギーと呼ぶんだ。
ちなみに、運動エネルギーと位置エネルギーは、物体にはたらく力による仕事が原因となるエネルギーだから、運動エネルギーと位置エネルギーを足したもののことを力学的エネルギーという。
そういえば、この前の授業では熱エネルギーを教えてもらったよな。
他にも手回し発電機のモーターを回転させると電気が流れる場合だと、電気エネルギー。物質の化学反応によって生じるエネルギーを化学エネルギーというように、様々な形態のエネルギーが存在するんだ。
オイラたちは、いろんなエネルギーを利用しているんだなぁ…
2.運動エネルギーから熱エネルギーの変換
これまでに色んな形態のエネルギーについて見てきたわけだが、我々はこれらのエネルギーをその場その場の状況に適した形に変えて利用しているんだ。
へぇ~。
ここでは具体的に運動エネルギーから熱エネルギーに変換して利用する例を見ていくことにする。
OKだぜ!
上の図の説明の通り、自動車のブレーキはタイヤの側面についているブレーキパッドでブレーキディスクを挟み込む仕組みになっている。
そっかぁ…。挟み込むことでブレーキディスクとブレーキパッドを摩擦させることで、自動車を原則させてるんだな!?
この時、自動車の運動エネルギーが摩擦による熱エネルギーに変換されているわけだ。
自動車の運動能力が物を温める能力に変化してるわけなぁ…
そうだ。自動車が減速する代わりに、タイヤの周辺はとても熱くなっていることだろう。
自動車の運動エネルギーが熱エネルギーに変換される。これで自動車は止まってしまうわけだけど、エネルギー自体が無くなった訳じゃないから注意しないといけないなぁ。
あぁ…。それについては、次の項目で説明しよう。
3.エネルギーの保存
我々は、エネルギーの形態をその場の状況に応じて変化させて利用していることは、先ほど説明した通りだ。ここで注意をしておかなければならないのは、「エネルギーは増えたり減ったりすることなく、絶えず形を変えて保存されている。」ということだ。
保存される・・・??
具体的な例で説明していこう。
摩擦がはたらかない床…!?
ちょっとイメージしにくいかもわからないが、ここではアイススケートのリンクとか滑りやすい床を想像してもらえばいい。(厳密には摩擦は存在するが…)
滑りやすい床の上だったら、物体はず~っと転がっていきそうだね。
うむ。摩擦力がはたらかないから減速することなく、物体は動き続けたままだ。
エネルギー量が変化しないことをエネルギーの保存って言うんだぁ。
うむ。この場合、物体の運動エネルギーが変化することはないから、「物体の(運動)エネルギーは保存される。」という言い方をする。
摩擦がはたらく床っていうのは、さっきやった
自動車のブレーキと同じってことかい!?
自動車のブレーキと同じってことかい!?
あぁ、そうだ。ざらざらした床の上を動く場合は、床との摩擦が発生して、物体はどんどん減速していく。
ところで兄者。ざらざらした床の上を物体が動いても、床が温かくなることってないじゃないか??
確かにそうだ。床との摩擦によって発生した熱エネルギーは、床の上だけじゃなくて空気中にも分散しているんだ。
そっか。発生した熱はいろんなところに分散してしまうから、見た目では運動エネルギーが減少してるようにみえるわけだ。
空気抵抗の影響とかが無い場合、物体が完全に静止したのであれば、物体の運動エネルギーは熱エネルギーに変換されると考えることができる。
運動エネルギーだけじゃなくて、熱エネルギーにも注目したら、ちゃんとエネルギーは保存されてるね。
うむ。そこまで理解出来たら十分だ。
次に進もう。
次に進もう。
次は斜面をすべる場合だぁ。
平面よりも高い斜面上にある物体は、落下能力(位置エネルギー)を持っている。
斜面を転がっていくと、どんどん速度が増すから、運動エネルギーが増えていくね。
あぁ。この場合、物体の落下能力が運動能力に変換されるわけだなぁ。
最後は、摩擦のある斜面をすべる時だ。
摩擦熱が発生する場合だから…
なんだか複雑になって来たなぁ…
なんだか複雑になって来たなぁ…
まぁ安心したまえ。状況が複雑になっても、1つ1つ丁寧に整理していけば難しいことではない。
そっかぁ!
位置エネルギーが運動エネルギーと熱エネルギーに変化しているんだぁ…!!
位置エネルギーが運動エネルギーと熱エネルギーに変化しているんだぁ…!!
そうだ。これらのエネルギー全体でみれば…
エネルギーは保存されている!
そうだ。ここまで理解出来たらOKだ。
問題演習(解答・解説)
問1.問題文にある通り、重りが落下すると(重りにはたらく重力によって)、回転翼が水をかき回す仕事となって、水に作用します。その結果、水は運動能力(運動エネルギー)が手に入ります。ミクロな視点で見ると、水の運動が激しくなると、水分子同士の熱運動が激しくなり、水の熱エネルギーが増加します。したがって、最も適切な解答としては、(A)に仕事、(B)に熱が入る①が答えとなります。
もしも、(B)の選択肢に[運動]が入っていたら、それも適切な語句となります。
問2.(C)にはエネルギーの単位が入るので、③のJが答えとなります。
お疲れ様でした。
今回の学習は、ここまでです。
◎異なる単元の学習は、こちらのガイドを活用ください。