【1vs40の理科実験】信号反応と時計反応を観察しよう!
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はじめに

今回ご紹介する信号反応は酸化還元反応、時計反応はヨウ素デンプン反応を基礎としています。信号反応においては、グルコースの還元性を利用しているので、糖類について学習する際の興味関心を引き立てる教材としておすすめです。また、時計反応は2段階反応によって、ヨウ素デンプン反応による溶液の変色タイミングを調節しているので、多段階反応について触れる際に取り扱うことができる内容です。

準備物()内は10セットの必要数

プラスチックケース1個(10個)、電子天秤8台、ピペット2本、水道水300ml(3L)、薬包紙5枚※1(50枚)、ペットボトル1本、コニカルビーカー1個※2(10個)、薬品さじ:攪拌用2本(20本)、薬品さじ:計量用10本〜15本程度、300mLビーカー1個(10個)、500mLビーカー1個(10個)、試験管2本、試験管立て、アルコールランプ1個(10個)、アルコールランプ専用スタンド1台(10台)、金網1個(10個)、チャッカマン1つ、実験手順を記した用紙1枚(10枚)

■信号反応に用いる薬品類

グルコース2g(20g)、水酸化ナトリウム8粒※3(80粒)、メチレンブルー100mL程度、サフラニン50mL程度

■時計反応に用いる薬品類

可溶性デンプン0.4g(4g)、ヨウ素酸カリウム0.43g(4.3g)、亜硫酸水素ナトリウム0.26g(2.6g)

※1:薬包紙が手に入りにくい場合は、クッキングシートで代用してもらっても構いません。業者発注だと備品の到着までに2週間くらいかかることがあって、授業までに間に合わないことがあるので、私は手軽に入手できるクッキングシートをカットして使用しています。今回の実験の範囲内では、普通紙で代用しても問題はありません。

※2:コニカルビーカーは100mLを軽量してペットボトルに水を入れるために使用するので、他のもので代用可能です。

※3:水酸化ナトリウム1粒あたり約0.1gです。

事前準備

プラスチックケースに、ペットボトル、300mLビーカー、500mLビーカー、コニカルビーカー、ペットボトル、薬品さじ2本を入れます。

これを1セットとして10セット準備して、各テーブルにセットしておきます。

試験管立てに試験管を2本セットして、アルコールランプとスタンド、金網は、各テーブルにセットしておきます。ピペットはメチレンブルーとサフラニン溶液を滴下するのに使用します。

今回使用する薬品類と電子天秤は、薬包紙を添えて教卓に並べておきます。

※メチレンブルーやサフラニンは細胞内構造の染色に利用されており、染色液として販売されているものを購入すれば入手可能です。画像をクリックすると商品購入ページに移ります。

メチレンブルーは、観賞魚用の魚病薬としてホームセンターで販売されてることがあります。メチレンブルーのみでしたら、こちらの方が安く購入することが出来ます。

 

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本時の説明

授業が始まったら授業の目的を説明します。

生徒たちの学習状況によって、説明する内容は変わってきますが、ここでは「酸化還元反応とヨウ素デンプン反応を活用した変わった液体を作ってみる!」と、本時の目的を伝えて実習に入っていきます。

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実習

これより信号反応と時計反応の順番に調整を行なっています。

 

信号反応の調整

①:グルコース2.0gと水酸化ナトリウム8粒を計量するように伝えます。

②:生徒たちが薬品の計量に動き始めたら、残った生徒たちにコニカルビーカーを使って、ペットボトルの中に100mLの水(水道水で大丈夫です)を入れるように伝えます。

※教卓の前に並んでいる薬品を10グループの代表生徒たちが計量するので、この工程は案外時間を要します。特定の生徒が暇しないようにするためにも、常時2つくらいの役割を与えて全員が行動できるように配慮します。

③:ペットボトルの中に水を入れたら、ペットボトルの中にメチレンブルーを4滴、サフラニンを2滴加えるように伝えます。グルコースと水酸化ナトリウムの計量が終わったら、それもペットボトルの中に入れます。

④:全ての薬品を入れたらペットボトルの蓋をして、薬品が溶けるまでペットボトルを振っておきます。

これで信号反応の調整は終了です。ペットボトルはそのままテーブルの上に置いておきます。

このタイミングで生徒たちを一度着席させて、グルコースの還元作用によって次第に液体が無色透明になっていくことを伝え、次の時計反応の調整に入っていきます。

生徒たち各々が自由に動き回っている状況だと指示説明が通りにくいので、きちんと伝えないといけないところは、着席させた上で説明に入ります。

時計反応の調整

①:デンプン0.4g、ヨウ素酸カリウム0.43g、亜硫酸水素ナトリウム0.26gを計量するように伝えます。

②:生徒たちが再び動き始めたら、残った生徒たちには300mLビーカーに約80mLの水、500mLのビーカーに100mLの水を加えるように伝えます。

③:水の準備が完了したら、300mLビーカーに入った水を加熱するので、アルコールランプの蓋を外して加熱の準備に入るように伝えます。

④:各テーブルを回りながら、授業者はチャッカマンでアルコールランプに火をつけて300mLビーカーに入った水を加熱します。

⑤:薬品の調整が終わったグループから、300mLビーカーにデンプンを(※4)、500mLビーカーに亜硫酸水素ナトリウムを入れるように伝えます。その後、薬品さじで溶液をかき混ぜます。

⑥:デンプンが全て溶けたらアルコールランプの火を止めるように伝えます。

⑦:300mLビーカーに20mLの水加える、もしくはビーカーを手で持てるくらいまで溶液の温度が下がったら、ヨウ素酸カリウムを入れて溶かします。

(この時にテーブルを回りながら、アルコールランプの火が完全に消し止められているか確認しておきます。)

300mLビーカーに入った液体をA液、500mLビーカーに入った液体をB液とします。

これで時計反応の準備は終了です。

観察

これより信号反応と時計反応を観察します。変化の様子は上記の動画を確認してください。

信号反応の観察

時計反応の調整が終了する頃に、ペットボトル内の溶液が無色透明(もしくは薄い赤色)になっています。これはメチレンブルーおよびサフラニンがグルコースの還元作用によって構造変化を起こしたためですが、ペットボトルを振ると空気中の酸素によって酸化反応が起こり、再び溶液の元の色に戻ります。メチレンブルーのみであれば青色、サフラニンのみであれば赤色、両方が入っている場合は、赤色→紫色と順番に変色します。

 

溶液が無色になったタイミングで生徒たちにペットボトルを振ってみるように伝えます。

ペットボトルを振るのをやめたら再び無色透明になるので、繰り返し反応を観察することが出来ます。

時計反応の観察

A液を試験管に10mL、もう一つの試験管にはB液を10mL加えます。

B液の入った液体をA液の入った試験管に移して、合計20mLにします。この混合溶液を目を離さずに1分程度観察します。(水温の高いA液側に移した方が、効率良く液体は混ざります。)

試験管内の液体の反応を観察したら、A液の入った液体をB液の入ったベーカーに全て移して反応を観察します。

※時計反応のみの実験を行うのであれば、試験管に入れる溶液の量を変化させて、変色するまでの時間を計測するなどすると、より学びが深くなります。(A液5mLとB液10mL、A液10mLとB液5mLなど)

後片付け

今回の液体は流しにそのまま廃棄しても大丈夫なので、流しに処理した後にビーカーを水でよく洗います。

連続して実験授業を行う場合は、使用した器具はプラスチックケースの中に戻しておきます。

時計反応で調整した液体はペットボトルに入れたまま持ち帰ってもらっても構いません。

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