はじめに
今から、縦波の横波表示について説明していきます。
□前回の復習
波の表し方(縦波の横波表示)
縦波と横波
高等学校では、特に縦波と横波という2つの波を扱います。
縦波と横波は、どのような波なのかを、まず確認すると…
媒質の振動方向と波の進行方向が一致するものが縦波です。
つるまきばねを引いて適度の弾性を持たせてから、ばねの伸びる方向に前後に押したり引いたりして振動させると、媒質の振動方向と、同じ向きに波が伝わります。
このような波のことを縦波と言います。高等学校で学習する縦波には、その他に「音」があります。
そして、次に媒質の振動方向と波の進行方向が垂直となるのが横波です。
ロープを伝わる波は、波の進行方向と媒質の振動方向が垂直の関係になっています。
これまでの授業で取り扱ってきた波が横波です。
高等学校で学習する横波には、ロープの他に「光」があります。
地震波にはP波とS波があるということを中学校の理科で学習したと思います。
P波が波の進行方向に対して前後に振動しながら伝わる「縦波」でS波が波の進行方向に対して直角に振動しながら伝わる「横波」です。
■縦波
■横波
図を見てもらえば理解してもらえるかと思いますが、 地震で怖いのは「横波」です。
「横波」による横揺れが大きな被害をもたらします。
縦波の横波表示
前回の講義では、波の表し方と称して、横波のグラフについて学習してきました。
そこで、今から縦波の振動の様子をグラフにしていこうと思うのですが…
縦波は、媒質の振動方向と波の進行方向が同じなので、このままの状態だと、紙面上で振動の様子を表現することが出来ません。
一方、横波であれば、波の進行方向に対して、媒質の振動方向が垂直なので、各点での媒質の変位をグラフにプロットしてやれば、綺麗な波形のグラフが出来上がります。
そこで、この縦波をあたかも横波のように表すという方法について見ていきます。
これが縦波の横波表示、波の表し方の1つです。
それを今からやってみます。
縦波を横波表示する方法は、次の2つの方法に従って進めていきます。
x軸負の向きに変位した時には、y軸負の向きに反時計回りに90度回転
例えば、ここの媒質はx軸正の向きに移動しています。このような媒質の変位は、y軸正の向きに90度、反時計回りに回転させます。
そして、ここの媒質はx軸負の向きに移動しています。このような媒質の変位は、y軸負の向きに90度、反時計回りに回転させます。
このルールにしたがって、その他の媒質の変位も書き換えてやると、次のようになります。
こうして、縦波を横波表示することで、縦波の振動の様子をグラフにすることが出来ます。
ただし、これはあくまでも縦波なので、媒質自体は実際には、振動方向と同じ向きに振動していることは忘れないようにしてください。
縦波の特徴
それでは、縦波の表し方を確認したところで、縦波の特徴について見ていきたいと思います。
縦波を横波表示することで、縦波の振幅がここの長さであるとか、波長がここの長さであると言ったことがすぐに分かるようになります。
それから、ここの部分を見て下さい。
媒質がたくさん集まっています。このような所を「密」な場所と言います。
一方、この部分。ここを起点として周囲の媒質が「わぁ~っ」と逃げていくような様子が確認出来ます。
このような所を「疎」な場所と言います。
そして、縦波全体を見てみると、密な場所と疎な場所が交互に並んでいます。
このように縦波は疎密疎密と並んでいることから縦波のことを「疎密波」ともを呼んだりします。
これで前回の波の表し方に続き、縦波の横波表示についての説明が終了しました。
次回は波の例題を解説していきます。