はじめに
コンデンサーの語源となるコンデンスという言葉は凝縮という意味を持っています。
例えば皆さんにも、好き嫌いはあるでしょうが、コンデンスミルクというものがあります。イチゴなんかを食べる時にかけたりする方もいるかと思います。
あれは、凝縮したミルク。とても甘くてドロッとしたものですねぇ。
コンデンス。凝縮する。
コンデンサーは、何を凝縮するのかと言いうと、電荷を凝縮するということなんです。
このコンデンサー、電気器具を見てもらえればわかると思うんですけども、金属板が2枚横に置いてあるだけなんです。
平行な極板が2枚あります。なぜこれで電荷をコンデンスすることができるのか!?
ということ。そのようなことを学んでいかなければいけないわけです。
ただ、一つ問題点があります。
それが何かと言うと、前回の講義でクーロンの法則を取り扱ったわけですが、クーロンの法則というのはあくまでも点電荷に対する式です。
□前回の復習
板全体に電荷が蓄えられる。
というようなことを考えてる。
例えば点電荷があっていくらか距離が離れたところの電場がどうであるか!?
という議論ができるわけです。
ところが、ここに鉄板があって一様に電荷が分布している。
そして、そこからちょっと離れたところの電場はいくらかと言われた時に
これ点電荷じゃないわけですから我々はこれを定量的に処理をすることができない!
うーん困りました。
ですから、この点電荷から平面電荷に話を持っていかなくてはいけないわけです。
実はここで、ガウスの法則という非常に重要な法則が出てきます。
それで、このガウスの法則というのを、すっ飛ばして勉強する人が非常に多いんです。その為にクーロンの法則だけが、なんていうか、宙に浮いたような感じになってしまう。
繋がりがないということになってしまって結局回路の問題が苦手になる。
それが原因で
回路は嫌いです!
という受験生が非常に多いということです。
なぜそんな式が出てきたのか!?
というような所をしっかりと捉えていきたいと思います。
主題12:コンデンサー
この周辺の電気力線はどうなっているだろう…??
電気力線っていうのはプラス1クーロンの電荷が移動する道筋ですから、この周りにプラス1クーロンの電荷をばらまいてみるんです。
そうするとプラス1クーロンの電荷は反発しあって、
これがプラスQクーロン電荷の周りの電気力線ということになります。
素晴らしいアイデアです。ところが、これを見た数学の天才ガウスは、
素晴らしいアイデアだけれども、素晴らしいだけに、このままにしておくのはもったいない。
そういったわけです。何が勿体ないのかって言うと、
何本でも引けるじゃないか!?
ってわけです。
確かに何本でも引けますよね。
何本でも、そこにプラス1クーロンの電荷を持ってくれば良いわけですから、何本でも引けます。
引く本数を決めようじゃないか!
そうすることで、もっとより深いところまで、分かるようになりますよ。
という、そんな理論を打ち出した訳です。
それである決め事をしました。
ガウスの法則
もちろん、これは点電荷ですから、式は分かっています。
1㎡あたりE本、「電場の大きさ」本の電気力線を引くものとする。
だから何なんだ!
ってツッコミを入れたくなるような文章ですけども、
天才でないとできないですよ。
その真意は後で説明します。
これはプラス1クーロンの電荷から4πk本の
の電気力線が湧き出すことと同値である!
と言えるようになります。
これは教科書によってはQクーロンの電荷から4πkQ本という表記になっている場合があります。
どちらでも結構です。
しかし、なぜこの2つが同じなのか、よく分かりませんねぇ。
まずは、そのあたりからちゃんと説明していきます。
ただし、これは法則です。最終的には覚えてください。
電場というのはプラス1クーロンに働く力である!
1㎡あたりE本の電気力線を引くものとする!
ということは、
別の言い方をすれば、電場とは1㎡あたりの電気力線の本数に等しい。
言い換えれば、こういうことになります。
大切なので、もう1回言います。
前回の講義、プラス1クーロンに働く力に等しい。
今回のガウスの法則、1㎡あたりの電気力線の本数に等しい。
これが電場の定義である!
ということになります。
それでは、なぜこれとこれが同じ意味を持つのか…??
そして、
こういう風に決めてあげることがなぜ点電荷から一般の平面電荷に式を変形していくきっかけになりうるのか!?
ということ。
このあたりが分からないとこれを覚える意味もなくなってしまいます。
さぁ、それでは、我々は知っているところからスタートしなければいけません。
知っているのは点電荷です。ですから、どこか適当な場所に点電荷をおきましょう。
そして、ここから、例えばr離れた場所、ここでの電場の大きさがいくらか?
を考えます。
電場の向きはどうなっているか。
それは、ここにプラス1クーロンを置いて考えればいいわけです。
電場は、クーロンの法則から
ということはこの場所に1㎡あたりE本の電気力線を引きなさい。
と言ってるんです。
湧き出せばよい…。
ここまではいいですか?
それでは続いていきます。
実際にどんな電気力線が出来てると思いますか?
ここに点電荷、プラスQクーロンがあるとします。そして、「その周りにどんな電気力線が出来てるか!?」っていうわけだから、周りにプラス1クーロンばらまけばいいでしょう。
そうすると、点電荷を中心に3次元的にこう広がってますよねぇ。
栗のいがみたいな、ウニのいがみたいに3次元的に線が出てきます。
ということは、この1㎡というのは半径rの球面の一部なんです。
それでサッカーボールの一部黒いところがありますよね。
あそこが1㎡だと思ってください。
そこを今E本貫いている。そう考えましょう。
そして、結局このプラスQクーロンから一体どれだけの電気力線が出ているのか?
ということをこれから考えます。
プラスQクーロンの電荷から湧き出す電気力線の総本数、
一体、全体としては何本の電気力線が出ているんだろう??
ここで電気力線の総本数をNとします。1㎡あたりkr2分のQです。
球の表面積は何㎡ですか??
4πr2ですね。
そうすると、r2が消えて4πkQ本です。
ということは、プラスQクーロンの電荷から4πkQ本の電気力線が出てる。
本当になりましたねぇ。
1㎡あたりE本!
と決めたら
プラスQクーロンの電荷から4πkQ本の電気力線が出ている!
すごいですねぇ。
だから一番最初に青色の枠で囲ったこと、その理屈はここで分かってもらえたと思います。
あくまでも点電荷の式しか使っていません。
ただ、ここですごいのは、数学的にこれをポンポンと消したように見えるかもしれませんが、
出てきた結果を見ると…、
4、ただの定数。
π、3.14。
k、クーロン定数。
ということは、4πkは定数です。
したがって、この式はQにしか依存しないんです。
Qにしか依存しない。
形はどうでもいい。
形を表す半径rとかはどうでもいい。
それじゃあ、形は別に何でも良い。
点電荷でもいいです。
では平面電荷でもいい。
出ている電気力線の数は、何本ですか?
形状に関係ないわけです。
だから4πkQ本なんです!
点電荷から平面の電場へと、だんだんと移行してきました。
今まで私たちは、点電荷に対してしか式を持っていませんでした。しかし、この数学の天才ガウスのおかげでこういうことができるようになった。
ガウスは、数学を用いて当時、流体力学を勉強してたようです。
それで、その時にこのファラデーの電気力線に出くわすんです。
それで、これ実はそのまま和訳したんです。湧き出すっていう表現を使いました。
それと同じように「単位面積あたりに大体どれぐらい出ているか!?」というような、概念を持ち出してうまく解決をしていった!
ということになるわけです。
すごいですねぇ…。