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教育困難校に勤務するに当たっての心構え! 授業の基本シリーズ No.08において、初めて教師となってから生徒たちに楽しい授業をしようと決意するまでに至る経緯をお伝えしました。

しかし、とは言っても知識も経験も浅い若かれし頃の私では、すぐに生徒たちを満足させられるような授業は出来ません。

そこは試行錯誤の連続でした。

そこから半年ほどが経過した頃に、ようやく1時間を通して初めて自分自身が納得のいく授業が出来たと思えたのが、今回ご紹介するポップコーンを題材とした授業です。

動画での実演はこちら↓↓↓

当時、私は研究授業発表者に指定されていて、多くの先生たちが見守る中で、この年1番の授業を披露することが出来たという幸運に恵まれた、思い入れの深い授業でもあります。

ポップコーンから学問を透かしてみる

単にポップコーンを作って食べるだけだと、それは単なるお遊びでしかありません。

しかし、この「遊び」の要素を学問には不要のものと切って捨ててしまうのは考え物です。

特に幼児期の遊びを連想してみると、それは、興味・関心の感情に導かれての行動であったり、

はたまた遊びの行為を通して、

ところでこのおもちゃの原理ってどうなってるの??

と、新たな興味・関心の感情を誘発する原動力にもなります。

つまり、遊ぶことで生徒たちの興味・関心を引き付けて、そして学問へ誘導したり、遊びを通して生徒たちの興味・関心を誘発させて、その後に学問知識を伝達するプロセスにおいて、遊ぶことが有効に機能するということです。

さて、それではポップコーンを作るという遊びを通して、生徒たちにどのような学問世界へと誘うか??

そこからが、授業者として腕の見せ所です。

ポップコーンの粒の形状から、これはトウモロコシから出来ていることがわかりますが、こちらは「爆裂種」という種類で、普段煮たり焼いたりして食べているとうもろこしの「スイートコーン」とは種類が違います。

「爆裂種」は表面の殻が硬く、熱すると内部の水分が膨張して圧力が高まり、やがて破裂しますが、「スイートコーン」は、硬い部分が薄く加熱しても蒸気が漏れるので、圧力は高まらず破裂するということはありません。

と言う風に、食材に焦点を当てて説明を与えるのであれば、家庭科の授業として扱えると思います。

はたまたポップコーンの歴史をさかのぼれば、社会科の授業として取り扱えます。

「ところでポップコーンを食べ始めたのはいつ頃の事かわかりますか?」

と、発問を与えて、

「100年前!」「500年前!」「1000年前!」

と、生徒たちから活発な議論を引き起こした後に、

「実は、紀元前3600年(約5600年前)だよ。」

と、答えを与えたり、

生徒たちに実際に調べて答えてもらった時は、その意外性にどよめきの声が挙がるのではないでしょうか・・・。

(私もこの記事を書いてるときにウィキペディアで調べて、少し驚きました。)

ウィキペディアでは、更に

ポップコーンはネイティブアメリカンやメキシコ先住民がトウモロコシを利用し始めた頃から存在したらしい。
ニューメキシコ州で紀元前3600年頃の遺跡からポップコーンの痕跡が見つかっている。
どうやら、焚き火の中に乾燥させたポップ種の種子を投げ込んで、焚き火から飛び出した物を食べていたようである。
16世紀から17世紀にかけてアメリカ大陸にやってきたヨーロッパ人は彼らからポップコーンのことを知った・・・

と、説明されているので、

16世紀や17世紀の世界の時代背景を語る際の導入部分として活用すれば有効ではないでしょうか。

そして、当時に思いを馳せながら小休止も兼ねてポップコーンを噛みしめた後に、授業の後半戦に移って本題を一気に伝えていけたら、なかなか充実した1時間の授業になるでしょう。

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ポップコーンが出来る原理を透かしてみる

化学の分野においては、ポップコーンを題材にして物質の三態を取り扱うことができます。

物理で言ったら熱力学の項目に該当します。

この単元では、熱エネルギーの作用によってミクロな粒子の運動がどのように変化していくのかをイメージしなければならず、目に見えない現象の理解を苦手とする生徒たちに対しては、いくつかの具体例を図解して、苦手意識を解消していきたい分野です。

物質には基本的に固体、液体、気体の3つの状態が存在し、固体の状態の物質が熱を吸収して温度が上昇すると、物質を構成する粒子の運動が活発になりその活動状態に応じて固体⇒液体⇒気体と変化します。

すでに気体の物質については、温度が上昇すると、その気体を構成する粒子の運動が更に激しくなります。これを水の粒(水分子)の例で図示すると次のようになります。

サントリーHP:水大辞典(氷・水・水蒸気・・・水の三態より)

動画でイメージを確認する場合は、こちらなどがおすすめです。この後、絶対温度の概念を伝えたり、将来的にはボイルシャルルの法則や熱力学の第1法則などを駆使して、大学入試問題を解くときには、上図のような関係をパッとイメージすることが大切になってきます。

トウモロコシを熱すると、内部の水分が熱(エネルギー)を吸収し、膨張することで、トウモロコシ内部の圧力が高まります。そして、トウモロコシの硬い殻が内圧を支えきれずになり、ある限界を超えた段階で破裂します。

このイメージが伝わりにくい場合は、満員電車に置き換えて説明することが出来ます。まず自分自身が真夏の満員電車に乗って通勤(もしくは通学)している状況をイメージしてください。最初は空調によって快適に保たれていた車内が、空調の故障によって、どんどん温度が上がっていきます。車内は蒸し暑くなり、やがて隣の人の体温がむさ苦しくなってきます。

そろそろ電車から出してもらえないかなーっと思っても、なかなか次の駅に到着しない。

その間も、強い太陽の日差しを浴び続ける電車内には、熱気がどんどん充満していき、車内はサウナ状態です。

我慢の限界を通り越して、命の危険を察知し、皆全力で電車内からの脱出を試み窓ガラスをたたいたり、ドアに身体をぶつけたり、さらには隣の人を押し込んでドアにぶつけようとする人も出てくるでしょう。

通常なら硬くて、人の手では決して壊されることの無い電車であっても、これだけ多くの人が全力で、ぶつかればやがて内壁は破壊され、サウナ状態の灼熱地獄からの脱出に成功します。

目に見えないミクロな現象については、生徒によって理解度はまちまちにです。

従って、教科書的な説明の他に、模式図や動画、たとえ話などを用いた説明など、出来る限り多くの伝達手段を持っておくことをお奨めします。

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ポップコーンを実際に透かしてみる

説明が長くなりましたが、ポップコーンは簡単且つ素早く作れます。

準備するものが多くなく、作り方も至ってシンプルなのが、ポップコーン作りのメリットです。

私が実験授業として教材の採用を検討する時は、簡単かつインパクトが大きいことが、その基準としてかなりのウエイトを占めます。

その点において、教材としてのポップコーンづくりに、私はとても高い評価を与え、今でも授業で愛用しています。

■準備物

準備物
ポップコーン用トウモロコシ、サラダ油、500mlビーカー、塩(もしくは塩コショウ)、アルミホイル、軍手、キッチンペーパー、アルコールランプ(卓上コンロ)
※ポップコーン用のトウモロコシはスーパーで購入できます。ビーカーの代わりにホームセンターなどに売っている耐熱グラスでも代用できます。
■作り方
1.500mlビーカーにトウモロコシを入れる。ビーカーの底が敷き詰められるくらいまで入れればOKです。
2.次にトウモロコシがつかる程度にサラダ油を入れます。
3.ビーカーをアルミホイルで蓋します。
4.ビーカーを加熱します。

トウモロコシは、ビーカーの底が敷き詰められる程度に入れます。

(この量だけでビーカーはポップコーンで一杯になります。)

サラダ油はトウモロコシが浸かる程度十分です。

アルミホイルで蓋をして加熱します。

加熱の際は、アルコールランプ用のスタンドの上にビーカーをおいた方が安全に加熱できますが、ここでは、軍手をはめた状態でビーカーを直接手で持って加熱します。

(そちらの方が臨場感が出るというだけの理由です。)

ポップコーンが弾ける瞬間を目の前で見えるのは、新鮮な事のようで、生徒たちは興味深くその様子を観察してくれます。

完成したら、キッチンペーパーの上に、ポップコーンを出して、塩で味付けします。

後は、ただひたすら食べるだけです。普通に美味しいです。

どうでしょうか。おいしいポップコーンを食べて、学力が向上する一石二鳥の授業。是非皆さんもお試しください。

授業の技術シリーズ(続き)はこちらのガイドを活用ください。

授業資料集

実際の授業で利用した全データについてはこちらを参照ください。
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